「どうかこの声があなたに届きますように」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|浅葉なつ

「どうかこの声があなたに届きますように」

【ネタバレ有り】どうかこの声があなたに届きますように のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:浅葉なつ 2019年9月に文春文庫から出版

どうかこの声があなたに届きますように の主要登場人物

小松 奈々子(こまつ ななこ)
トラウマを抱える元地下アイドル。ひょんなことから「小松夏海」としてラジオのアシスタントを務めることになる。

黒木 永吾(くろき えいご)
奈々子をラジオのアシスタントにスカウトした人物。口は悪いが奈々子の才能を信じている。

古谷 創史(ふるや さとし)
ラジオ番組「はなまるティータイム」のメインパーソナリティ。奈々子の成長を見守ってくれる。

どうかこの声があなたに届きますように の見どころ!

・奈々子の過去との決別

・ラジオがリスナーに与える力

・奈々子を取り巻く周囲の人々の温かさ

どうかこの声があなたに届きますように の簡単なあらすじ

ある事件がきっかけで地下アイドルを引退した奈々子は、トラウマを抱えながらパン屋でバイトをしていました。

そんなある日、黒木という男性が奈々子に会いにやってきます。

目的は、奈々子をラジオ番組のアシスタントに抜擢することでした。

祖母の後押しもあり、アシスタントを始めた奈々子は少しずつラジオの仕事にやりがいを感じていきます。

しかしラジオは斜陽業界。

事務所を持たない奈々子に、クビ問題やスポンサーの降板問題が降りかかります。

どうかこの声があなたに届きますように の起承転結

【起】どうかこの声があなたに届きますように のあらすじ①

 

出会い

奈々子は元地下アイドルです。

奈々子のことに興味を持ってくれない母親の気をひこうと始めた地下アイドルですが、ある日ひったくりの被害に遭い、顔に傷を負ったせいで引退を余技なくされます。

母親は「アイドル」という肩書を失った娘に失望してひどい言葉をかけます。

奈々子はそれを気に病んで、傷が治ってからもマスクが手放せません。

奈々子は母親の呪縛から離れようと、祖母と二人暮らしを始め、パン屋でアルバイトをしています。

ある日、パン屋で働いていると黒木という男性に声をかけられました。

退勤後に話を聞くと、黒木は奈々子の過去を知った上で、あるラジオ番組のアシスタントを務めてほしいというのです。

全く知らない業界に飛び込むことをためらう奈々子ですが、祖母の応援もあり、試しにオーディションに行ってみると見事合格。

古谷創史の「はなまるティータイム」という昼のラジオ番組に、過去を隠して「小松夏海」として週に一回出演することになりました。

【承】どうかこの声があなたに届きますように のあらすじ②

 

ラジオの魅力

始めは何を話せばいいのかわからず、ひたすら古谷の話に相槌を打つ奈々子でしたが、少しずつ話もうまくなり、メールで投稿をするリスナーとの距離も近づいてきました。

しかし、他の曜日担当のアシスタントに比べて、奈々子には武器となるキャラクターがありませんでした。

奈々子は地下アイドル時代のことは伏せて番組に出ているので、過去の話はできません。

他の曜日のアシスタントは、お笑い芸人だったりオネエだったり、実力派のアナウンサーだったりと、個性が強いのです。

没個性に悩む奈々子のことを、黒木や古谷、他のアシスタントはさりげなく助言を与えて見守ります。

そんなとき、「父親が再婚したら家族からの愛情を感じなくなった」という中学生男子からのメールが届きます。

古谷と奈々子はそれに対してアドバイスや思いをぶつけます。

奈々子はこの少年が自分の子ども時代に重なって見え、涙ながらに少年のことを認めます。

それからは、このコーナーは奈々子がリスナーの承認欲求を満たすコーナーとして人気を博します。

奈々子も少しずつ自分の立ち位置が見えてきました。

【転】どうかこの声があなたに届きますように のあらすじ③

 

別れと転機

「はなまるティータイム」の人気アシスタントとして成長を始めた奈々子ですが、芸能事務所からの圧力のせいで、アシスタントの交代を言い渡されます。

そこでクビを宣言されたのは奈々子。

他の曜日のアシスタントは局アナだったり芸能事務所所属のタレントだったりするので、奈々子が一番クビにしやすいというのです。

黒木や古谷は反対してくれますが、上層部が決めたことは覆りませんでした。

黒木は奈々子が本当にラジオが好きになっていることを感じ、奈々子を他の番組に出演させようと奔走します。

結果、奈々子は深夜帯ではありますが、一人で番組を任されます。

古谷は奈々子の独立を喜び、奈々子に承認欲求のコーナーを手土産に持たせてくれました。

奈々子は新番組であらゆる挑戦をします。

野外で収録したり、関係者の家に突撃したり、リスナーに会いに行ったり…そんな奈々子の番組はじわじわと人気を伸ばし、番組はゴールデンタイムに移動します。

奈々子は少しずつトラウマから解放され、自分らしく働けることに喜びを感じていました。

【結】どうかこの声があなたに届きますように のあらすじ④

 

母親と抑圧

ある日、奈々子はトラウマを植え付けた張本人である母親に再会します。

母親は若作りをしていて、昔と全然変わっていませんでした。

奈々子の現状を知ると母親は金の無心を始め、顔の傷や祖母との暮らしについて無神経な言葉を投げつけます。

その場はうまくやりすごした奈々子ですが、そのストレスが祟って、声が出なくなってしまいました。

ラジオのパーソナリティにとって、声が出ないというのは致命傷です。

しかも、ストレス性のものはいつ治るかもわかりません。

奈々子がラジオを休んでいる間、番組は「はなまるティータイム」時代の曜日アシスタントたちがゲストとして回してくれました。

奈々子はそれをありがたく思う反面、自分のことが嫌になります。

一か月たっても声は戻らず、奈々子は気分転換にラジオ局で事務のアルバイトを始めることにします。

そんなとき、奈々子の自宅にリスナーからのファンレターが届きました。

それを読んだ奈々子は、どれだけ自分がリスナーに支えられていたかということに気が付きます。

その後、奈々子は無事に声を取り戻し、今まで以上にリスナーに寄り添ったパーソナリティとして活躍していくのでした。

どうかこの声があなたに届きますように を読んだ読書感想

読んでいて元気を貰える一冊でした。

トラウマを抱える地下アイドルという、影を感じる主人公ですが、ラジオという舞台を見つけてからは別人のようで、憧れます。

ラジオで奈々子が思いを叫ぶシーンも、熱量があって鳥肌が立ちました。

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