【ネタバレ有り】ブルシャーク のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:雪富千晶紀 2019年8月に光文社から出版
ブルシャークの主要登場人物
矢代貴利(やしろたかとし)
市役所勤務。トライアスロン大会の担当者。
関(せき)
矢代と同期の市役所職員。水道局勤務。湖を調査に行って行方不明となる。
渋川まり(しぶかわまり)
久州大学の生物学の准教授。友人の頼みで来常湖の鮫を捕獲・保護しようとしている。
ジャック・ベイリー
往年のトライアスロンの世界的な名選手。今はおちぶれている。
鴨居(かもい)
トライアスロン専門誌の記者。
ブルシャーク の簡単なあらすじ
富士山のふもとの来常湖で、恒例のトライアスロン大会が開かれようとしています。担当の市役所職員、矢代は、行方不明の友人を探すうちに、渋川という生物学の准教授の女性から、来常湖に鮫がいるはず、と聞かされます。彼女は鮫の姿を確認しようと努力しますが、うまくいきません。やがて大会は開かれ、鮫が次々に出場者を襲い始めました。渋川は鮫に呑みこまれながらも、中で毒を注射して、脱出したのでした。
ブルシャーク の起承転結
【起】ブルシャーク のあらすじ①
富士山のふもと不二宮市、来常湖で、今年もトライアスロン大会が行われます。
本当は開催が危ぶまれていたのですが、地元の製薬会社がスポンサーについたことで、ようやく開催の運びとなりました。
大会の担当者である市役所職員の矢代は、大会の懇親会会場で大忙しです。
そこへ、同期の水道局職員の関がやってきて、来常湖の水質が急変していることを報せます。
関はこれから湖へ調査に行くとのことです。
ところが翌日になって、関の妻から、彼が帰ってきていない、と連絡がありました。
関の乗っていた車は来常湖そばのキャンプ場の駐車場に置きっぱなしになっていました。
警察は明確な事件性がないため動いてくれません。
友人のよしみで矢代が湖のまわりをさがしていると、長身の女性と会いました。
久州大学の生物学の准教授で渋川まりです。
彼女は、友人から来常湖にいるオオメジロザメを保護してほしいと頼まれて、探しているのでした。
その晩、夜中に湖に泳ぎに出たアベックが、どう猛な生物に襲われて死にました。
一方、往年のトライアスロンの名選手、ジャック・ベイリーがこの大会にエントリーしています。
彼はいまではすっかりおちぶれて、妻子にも見放され、こんな小さな大会に出場しようとしているのでした。
【承】ブルシャーク のあらすじ②
渋川は鮫を見つけるために、湖のかたわらに罠とカメラを設置します。
しかし、なぜか鮫の姿は映りません。
一方、トライアスロンの取材にきた雑誌記者、鴨井は、不明生物に襲われて死んだアベックの死体の一部を発見します。
そのままにしておくと、大会が中止になるかもしれない、と考えた彼は、死体を隠そうします。
が、死体をあさっている亀や鳥に襲われて、湖に転落し、不明生物によって食べられてしまいました。
鴨井が行方不明になったのがわかると、関のときには動いてくれなかった警察が、今度は捜査を始めます。
どうやら、関の妻が市の政治家につてがあって、警察に圧力をかけたようなのでした。
渋川は、鮫が川をさかのぼってくることができたのかを、確認に行きます。
川で大学教授の大淵と出会い、アドバイスを得て、川のダムや落差の地点には、人口の魚道、自然の魚道があって、増水時にはさかのぼることが可能であることがわかりました。
また、湖近くで見つけた虫瘤を大学で調べてもらったところ、外来種の虫によるもので、未知のアルカロイドがあることがわかりました。
【転】ブルシャーク のあらすじ③
矢代は、湖に鮫がいるかもしれない、と上司に訴えますが、聞きいれてもらえません。
同じことを、スポンサーとなった製薬会社の会長にも訴えますが、逆効果でした。
製薬会社がスポンサーになったのは、その会社の排水が湖を汚染したことを隠匿するためだったのでした。
そのころ、湖で巨大な生物が捕獲されました。
アリゲーターガーという体長2メートルの魚でした。
矢代の上司は、これが鮫の正体だったんだ、と安堵します。
同じころ、行方不明だった関が見つかりました。
浮気相手が妊娠してしまい、ふりまわされていたのでした。
いまだ行方不明になっている雑誌記者の鴨井をさがすために警察が湖にもぐりますが、見つかりません。
また、鮫に襲われることもありませんでした。
渋川は、湖近くから見つかった虫瘤のことを考えています。
虫瘤から出たアルカロイドは成長ホルモンで、虫瘤→サツキマス→オオメジロザメ、というルートで鮫の体内に入り、大型化しているのではないか、という仮説をたてます。
湖に夜釣りに出た人が、またひとり、不明生物の犠牲になってしまいました。
一方、大会の実力阻止をしようとした矢代は、市役所に軟禁されてしましました。
【結】ブルシャーク のあらすじ④
トライアスロン大会の当日になりました。
渋川は、鮫が見つからなかった仕組みを推理します。
来常湖と近くの沼が地下水道でつながっていて、鮫は昼の間は沼のほうにいて、夜になると湖に来ていたのだと考えます。
また、沼のほうでは残飯を不法投棄している外国人がいて、鮫はそれを食べて食欲をみたしていたのだろう、と考えました。
一方、軟禁されていた矢代は、関の助けで脱出します。
渋川も矢代も、湖へ向かいます。
が、時すでに遅かったのです。
トライアスロン大会の最初の競技は、湖でのスイムでした。
たくさんの人間が泳ぐ気配を察して、巨大化した鮫は水道をくぐり、襲いかかったのでした。
逃げ惑う選手たち。
警察や自衛隊も来ますがどうにもなりません。
ジャックは、大会前に面倒を見た素人の参加者、拳母を助けるために、自分がおとりとなって鮫をひきつけ、襲われました。
渋川は鮫に睡眠薬を打ちますが、鮫には効かず、食べられてしまいます。
しかし、鮫の体内で、毒を打ち込み、肉を割いて脱出を果たすのでした。
騒ぎが終わって、拳母が病院へジャックの見舞いに行きます。
彼は両脚を失いましたが、生きていたのです。
そこへ、ジャックの息子もはるばると会いに来たのでした。
ブルシャーク を読んだ読書感想
鮫の出てくる物語には、超有名な「ジョーズ」があります。
本作品は、おそらく「ジョーズ」を踏まえて、それをリスペクトしながら書かれたのではないか、と想像されます。
非常にサスペンスにあふれ、読み始めるとページをめくる手が止まりません。
なぜ海から離れた淡水の湖に鮫がいるのか、ということについて、しっかりと科学的な裏付けをしている点も好感が持てます。
また、往年のトライアスロンの名選手ジャック・ベイリーという人物が登場し、人間ドラマとしての見せ場をつくっていて、単なるサスペンスドラマにとどまらない深みを感じさせてくれます。
とはいえ、あまり固く考えずに読んで、ハラハラドキドキさせてもらえばよいのではないか、と思います。
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