【ネタバレ有り】おれは非情勤 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:東野圭吾 2003年5月に集英社から出版
おれは非情勤の主要登場人物
おれ(おれ)
物語の語り手。非常勤講師。ミステリー小説家を目指す25歳。
浜口(はまぐち)
おれの同僚の教師。
浜口交三(はまぐちこうぞう)
浜口の夫。
山口卓也(やまぐちたくや)
小学5年生。クラスのリーダー格の男子。
永井文彦(ながいふみひこ)
山口の同級生。
おれは非情勤 の簡単なあらすじ
大学3年生のときに就職活動に役立つことわ考えて教員免許を取得しておいた「おれ」でしたが、教師という仕事そのものはそれほど好きではありません。非常勤として働きながら小説家へのデビューを目指していたある時に、産休に入った女性の教諭の代わりに小学校の担任を引き受けます。生意気な子供たちと予想外の事件に振り回されていくうちに、先生としてのやりがいを感じていくのでした。
おれは非情勤 の起承転結
【起】おれは非情勤 のあらすじ①
9月20日、6畳一間のアパートを出たおれは一文字小学校へと向かいました。
これまで5年2組を受け持っていた村山先生が産前産後休暇を取得したために、今日からは非常勤講師のおれが代役を務めます。
25歳になった今でも非常勤の仕事を転々としている理由は、ミステリー作家になるの夢を諦めきれずに執筆活動に明け暮れているからです。
職員室で自己紹介を済ませたおれに、隣の席に座っていた浜口先生はふたりの問題児の存在について教えてくれました。
さっそく教室に入ったおれは山口卓也と斉藤剛に対して、威厳のある態度で臨みます。
1日目を何事もなく終えることができたのは、クラスのボスを抑え込んだのが効果的だったからでしょう。
2日目は朝から雨で、1時間目はグラウンドで50メートル走の予定でしたが中止にするしかありません。
代わりに屋内でドッジボールをすることにしたおれが児童を引き連れて体育館へ向かうと、そこには血を流して倒れている浜口先生がいました。
【承】おれは非情勤 のあらすじ②
浜口先生の胸にはナイフが刺さっていて、死体の側にはスコアボード用の数字板の「6」と「3」が置いてありました。
さらにその2つの板の間には、丸めた紅白の旗が「×」の形で残されています。
おそらく被害者が今わの際に何かを伝えようとしたダイイングメッセージのはずですが、これといった心当たりはありません。
もう1つ不可解なのは体育館の裏にある窓ガラスが割られていて、用具室に保管されていたドッジボールが刃物で切り裂かれていることです。
現場には浜口先生の夫・交三も駆けつけて、声をあげて泣き叫んでいました。
浜口先生と最後に会ったのは山田という男性の教諭で、昨日の午後8時にふたりで職員室を出たと証言しています。
ただし一緒だったのは校舎を出たところまでで、浜口先生は体育館の裏に忘れた傘を独りで取りにいったようです。
警察の現場検証に立ち会った後に臨時の会議が開かれて、 いつもと変わらぬように授業をしてくれと教頭から指示が出されました。
【転】おれは非情勤 のあらすじ③
昼過ぎにはすっかり雨が上がっていて業者からは新品のボールが届けられていために、6時間目は屋上でドッジボールをすることになりました。
コートの中には永井文彦という名前の男の子がたった独りで、 山口や斉藤たちの投げるボールから逃げ回っています。
体育用具室に忍び込んでボールを切り裂いた犯人は永井で、ドッジボールの時間になると山口たちからいじめられるのが嫌だったからです。
教室に永井を連れていったおれは、昨夜のことについて詳しく聞き出しました。
用具室を荒らした永井は逃げ出す直前に浜口先生が何者かと言い争う声を聞いていましたが、相手の顔までは見ていません。
浜口先生が意識を失う直前に書き残したのは正確には「六」 と「三」でしたが、漢数字のスコアボードが見つからなかったために算用数字の「6」と「3」を置いておいたとのことです。
永井が黒板にチョークで書いた「六×三」を眺めていたおれは、たちまち殺人犯の正体に気がつきました。
【結】おれは非情勤 のあらすじ④
浜口交三が妻の殺害を自供したのは、おれが永井から話を聞いた翌日のことでした。
アリバイがはっきりしないことや夫婦の間では離婚話が進んでいたこともありましたが、容疑を否認し続けている交三に対して警察も逮捕には踏み切ることができません。
それだけに永井の証言は貴重で、彼が見たのは「六」「×」「三」で 「交三」 の名前を示す決定的な証拠です。
刑事が取り調べ室でダイイングメッセージの意味を話した途端に、強情な交三もようやく観念して事件は解決しました。
校長室では校長と教頭が、永井の処分をどうするかで頭を悩ませています。
犯人の逮捕には一役を買ったとはいえ、学校の備品を傷つけたことに関しては処罰を免れません。
当の本人は一向に気にすることなく、グラウンドでクラスメートたち数人に取り囲まれています。
パトカーに載せられた経験を誇らしげに語る永井に対して、今まで彼をいじめていた山口や斉藤でさえ憧れのまなざしを注ぐのでした。
おれは非情勤 を読んだ読書感想
非常勤講師として働きながらミステリー作家を目指しているモラトリアム青年の主人公には、エンジニアからベストセラー作家への華麗な転身に成功した東野圭吾のプロフィールを思い浮かべてしました。
一見すると先生という職業に対して愛着のない冷たいキャラクターが、思いのほか熱血教師と探偵の手腕を発揮していく展開が痛快です。
いじめっ子を排除することなく、いじめられっ子との共存共栄をサポートしていく前向きな姿勢にも共感できます。
子供たちとの触れあいを通して、主人公自身も成長していくようなクライマックスも心地よかったです。
コメント