【ネタバレ有り】三毛猫ホームズの夢紀行 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:赤川次郎 2015年2月に光文社から出版
三毛猫ホームズの夢紀行の主要登場人物
片山義太郎(かたやまよしたろう)
刑事。妹の晴美、部下の石津、飼い猫のホームズと共に数多くの難事件に挑む。
小出弘一(こいでこういち)
大学卒業後に引きこもりになる。
小出雪子(こいでゆきこ)
弘一の母。何者かに殺害される。
天宮亜由(あまみやあゆ)
弘一の大学生の頃の彼女。
尾田八郎(おだはちろう)
天宮の上司。
三毛猫ホームズの夢紀行 の簡単なあらすじ
引きこもり生活を送る青年の母親が、何者かに銃撃を受けて殺害される事件が発生しました。警視庁の片山義太郎は、三毛猫ながらも人間を上回る推理力を持つホームズの力を借りて、事件の真相へと近づいていくのでした。
三毛猫ホームズの夢紀行 の起承転結
【起】三毛猫ホームズの夢紀行 のあらすじ①
引きこもり生活を送っている小出弘一は、恋愛シミュレーションのキャラクター「あゆ」に夢中でした。
ゲームを中断して食事のために1階に降りていくと、母親の雪子が倒れていて呼びかけにも応じません。
パニック状態に陥った弘一が助けを求めた先は、一時期にお付き合いをしていた女性・天宮亜由です。
夜中の3時という非常識な時間に苛立ちながらも、天宮は弘一の家に駆けつけて110番通報します。
現場に急行したのは警視庁捜査一課の刑事片山義太郎と、彼の部下である石津刑事でした。
雪子の胸には穴が開いていて、拳銃で打たれて即死したようです。
2階の自室から出てこない弘一を、片山たちは天宮にも協力してもらい何とか説得して扉のカギを開けてもらいます。
部屋の中は思いのほか整理整頓されていて、パソコンの傍にあるゴミ箱を覗いた石津が見つけたのは黒光りする拳銃でした。
弘一の手からは硝煙反応が出なかったために、何とか留置場行きだけは免れることが出来ました。
【承】三毛猫ホームズの夢紀行 のあらすじ②
母親が亡くなった後も、弘一は相変わらずパソコンのスクリーンの前であゆとの対話を続けていました。
事件から数日が経過したある日のこと、気が付くと弘一の足元には1匹の三毛猫がうずくまっています。
飼い主は先日の刑事・片山の妹に当たる晴美という若い女性になり、兄に言われて様子を見に来たようです。
冷凍食品を大量に持って来てくれたので、当面の食事の支度の心配はありません。
更には天宮も忙しい仕事の合間を縫って弘一の家を訪れるようになり、何くれとなく世話をするようになりました。
少しずつでも現実の世界と向き合うようになった弘一は、パソコンのスイッチを切って天宮と一緒に外出をするようになります。
遂にふたりはかつてのように恋人同士の関係へと戻っていきますが、弘一はあゆへの未練もたらたらです。
天宮と一夜を過ごした次の日の朝に、弘一の目の前にはあゆが出現します。
弘一を暴行したあゆは、天宮を何処かへと連れ去ってしまいました。
【転】三毛猫ホームズの夢紀行 のあらすじ③
一方の片山は殺害された雪子の貯金残高が、3000万円を超えていたことに着目していました。
違法なビジネスによって多額の利益を得ていた中で、トラブルに巻き込まれてしまったようです。
雪子が強面の男たちを引き連れて度々出入りを繰り返して場所は、天宮の勤め先でもあるオフィスビルであることが判明しました。
オフィスの高層階にある貸し会議室を訪れた片山は、壁をじっと見つめているホームズの仕草から壁紙が逆さまに貼られていることに気が付きます。
壁の中から出てきたのは隠しマイクとカメラになり、大企業同士の密談を盗聴・盗撮して口止め料を巻き上げていたようです。
雪子はこの違法ビジネスの出資者であり、元締めと分け前を争った末に消されたことが分かります。
会議室を捜索していた片山はガソリンの匂いを嗅いで不審に思っていると、既に辺りが炎に包まれていて逃げ場はありません。
駆け付けた晴美と石津がスプリンクラーを作動させたために、間一髪で難を逃れることが出来ました。
【結】三毛猫ホームズの夢紀行 のあらすじ④
天宮を拉致してあゆと名乗っていた犯人の正体は、セーラー服を身に纏って女装をした弘一でした。
生身の女性に恋をしてしまったことによって、パソコンの中のあゆに罪悪感を抱いてしまったようです。
監禁場所は取り壊しが決まっているビルの地下になり、弘一は雪子から安全な金の隠し場所としてここに何度か連れて行ってもらったことがあります。
建物が崩壊する前に駆け付けたホームズと片山によって、天宮は無事に保護され弘一は医療機関で治療を受けることになりました。
仕事を長らく休んでしまった天宮は、社内でのプロジェクトのメンバーから外されてしまいます。
そんな彼女を慰めにきたのは、片山から事情を聴いて入院先にお見舞いに来た課長の尾田八郎でした。
仕事一筋だとばっかり思い込んでいた上司は、意外にも推理小説やミステリードラマが大好きなようです。
天宮に降りかかってきたこれまでの特異な体験を、ゲームにして売り出すことを提案するのでした。
三毛猫ホームズの夢紀行 を読んだ読書感想
1978年からスタートした人気シリーズの第48弾になりますが、主人公の片山義太郎に晴美や石津を交えて繰り広げられる相も変わらぬ掛け合いが楽しかったです。
仮想空間に引きこもってしまう若者たちや、オフィスビルを利用した裏ビジネスなど時代とともに移り変わっていく世相も感じることができました。
1度は現実の世界へ足を踏み出した小出弘一が、再び虚構の世界へと引き戻されてしまうクライマックスもほろ苦い味わいです。
人間たちの欲深さや滑稽さを見つめつつ、事件を解決へと導いていくホームズの存在には心温まるものがありました。
コメント