著者:ソン・ウォンピョン 2019年7月に積信堂から出版
アーモンドの主要登場人物
ユンジェ(ゆんじぇ)
本作の主人公。生まれつき扁桃体(アーモンド)が人よりも小さい。
シム博士(しむはかせ)
パン屋の店主。ユンジェの世話をしたり、相談役になる。
ゴニ(ごに)
ユンジェのクラスメイトで凶暴な男の子。のちに友達となる。
ドラ(どら)
ユンジェのクラスメイトの女の子。ユンジェの感情を引き出してくれる。
アーモンド の簡単なあらすじ
ユンジェは、生まれつき扁桃体(アーモンド)が小さく、感情を表せない男の子でした。
ある時、無差別殺傷事件に巻き込まれ、ユンジェはひとりぼっちになってしまいます。
しかし、それをきっかけに、多くの出逢いと出来事が起こり、ユンジェは変わっていくのです。
アーモンド の起承転結
【起】アーモンド のあらすじ①
ユンジェは、小さい頃から泣くことも笑うことも出来ない少年でした。
生まれつき、扁桃体(アーモンド)が人よりも小さかったために、感じるということが出来なかったのです。
そのため、母親はアーモンドをたくさん食べさせ、少しでも扁桃体を大きくしようとするほどでした。
しかし、ユンジェの感情が良くなることは一向にありませんでした。
それでも諦めきれない母親は、ユンジェのために、感情の訓練も熱心にしてくれました。
そのおかげで、ユンジェはなんとか社会生活にも適応し、学校にも普通に通っていたのです。
ですが、そんなある日、事件が起こります。
それは、ユンジェが15歳の誕生日を迎えたクリスマスイブでした。
外出先で、無差別殺傷事件が起こってしまうのです。
そして、その事件で運悪く、祖母が他界、母親も意識不明の重体に陥ってしまったのでした。
結局、ユンジェは生き残ったものの、ひとりぼっちになってしまいます。
残されたものは、母親が営んでいた古本屋だけとなっていました。
【承】アーモンド のあらすじ②
ひとりぼっちになってしまったユンジェでしたが、なんとか1人で古本屋を再開させます。
その古本屋の2階にはパン屋があるため、ユンジェはそこに立ち寄ることにしました。
そこでパン屋の店主・シム博士と知り合います。
シム博士は、母親の友人で、母親が自分に何かあったらユンジェをよろしくと頼んでいた人物でもありました。
その後、ユンジェはシム博士のおかげで高校にも進学します。
そして、放課後は古本屋を開くという生活が定着していました。
そんなある日、銀髪のおじさんが古本屋に訪ねてきます。
そのおじさんは、息子のフリをして余命僅かの妻に会って欲しいとユンジェに頼むのでした。
人のためになるならとその頼みを聞いたユンジェでしたが、後になって後悔します。
実は、ユンジェが代役を引き受けた息子とは、ユンジェのクラスメイト・ゴニだったのです。
ゴニは数日前に転校してきたばかりの少年でした。
そして、ゴニはひどく凶暴で怪物と恐れられているような人物だったのです。
【転】アーモンド のあらすじ③
ゴニはユンジェのことが気に食わず、学校では常に、ユンジェに暴力を奮ってきました。
しかし、感情の乏しいユンジェは、それらの行動にも何も感じることが出来ません。
結局ゴニは、そんなユンジェに少しずつ心を開いていくようになるのでした。
そして、ユンジェの古本屋にわざわざ本を買いに来る常連にまでなっていくのです。
そうして次第に、2人は友達になっていきます。
また、ユンジェの古本屋には、他にもドラというクラスメイトの女子がよく来店していました。
ドラはゴニとは真逆の性格の女の子で、ユンジェに好意を持っているようでした。
またユンジェも、ドラに対しては何か風のような特別な感情を持つようになってきたのでした。
その事をシム博士に報告すると、シム博士は喜びます。
ユンジェの感情が成長していると思ったのです。
また、ユンジェ自身も、そんなように感じていたのでした。
しかし、ドラの事を好きになるほど、何かゴニに隠し事をしているような気持ちにも襲われていたのでした。
【結】アーモンド のあらすじ④
ゴニは学校での冤罪事件をきっかけに、姿を消してしまいます。
心配したユンジェは、1人でゴニを探しにいきます。
しかし、見つけたゴニは、以前よりも悲惨な姿になっていました。
どうやら、少年院で一緒だった先輩に面倒を見てもらっていたようです。
その後、ゴニは先輩に命じられて、ユンジェにナイフを向けてしまいます。
しかし、結局刺すことは出来ませんでした。
代わりに先輩が、ユンジェを刺してしまうのです。
ユンジェが気づくと、そこは数ヶ月後の病院でした。
目が覚めると、そこにはシム博士がいました。
そして、ドラが転校したこと、ユンジェの表情が良くなったことを褒めます。
また、ゴニからの手紙もありました。
そこには「ごめん。
そしてありがとう。
心から。」
と書かれていたのでした。
その後、シム博士は車椅子に乗せたユンジェの母親を連れてきます。
なんと母親は、ユンジェが寝ている間に奇跡的に意識を取り戻していたのでした。
そして、ユンジェと会えて泣く母親を前に、気づくとユンジェも涙を流して泣いていたのでした。
アーモンド を読んだ読書感想
壮大な物語で、ユンジェの成長が感じられる素晴らしい作品でした。
特に後半からは、涙が止まらず心に響いています。
感情を出せなかったユンジェが、たくさんの人と関わったことで、変わっていく様子がとっても良かったです。
また、韓国で書かれた作品は初めて読みましたが、起承転結がしっかりしていて読みやすかったです。
大衆向けの感動ドラマを見ているような気持ちにもなりました。
おそらく、万人受けしやすいのではないかと感じます。
いつか、ドラマ化や映画化も期待されるような作りとなっているので、話題作を読みたいという人にはオススメです。
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