著者:武内昌美 2020年6月に小学館から出版
泣き終わったらごはんにしようの主要登場人物
中原温人
本作の主人公。少女漫画誌の編集者をしている。料理が得意。
たんぽぽ
温人の恋人。研究職の仕事をしている。
中原木の実
温人の姉。新聞社で働いている。
泣き終わったらごはんにしよう の簡単なあらすじ
中原温人は、少女漫画誌の編集者として忙しく働きながら、時間を見つけて年上の恋人・たんぽぽと仲睦まじく過ごす生活を送っています。
温人は、家族や友人、同僚たちの悩みを得意の料理を活かしてそっと癒して解決するのでした。
泣き終わったらごはんにしよう の起承転結
【起】泣き終わったらごはんにしよう のあらすじ①
中原温人は、編集者の仕事が早めに終わり、恋人のたんぽぽと自宅で夕食をともにしようと仕事帰りに買い物をしていました。
ところが、たんぽぽは仕事の都合が悪くなり一緒に夕食を食べられなくなってしまいます。
落ち込みつつ自宅に帰ると、新聞社に勤務する姉の木の実が何の連絡もせずにやって来ていました。
木の実は、会社で何か問題があったようで、泣きはらした顔をしていました。
木の実の話を聞くために自宅に招き入れた温人は、仕事で後輩が大きなミスをしたことを叱ったところ泣かせてしまい、同僚たちから反感を買ったことを感情を爆発させながら話し始めました。
温人は、木の実の話を聞きながら心を落ち着かせる必要があると考え、当初たんぽぽのために作ろうと考えていた肉じゃがを木の実のために作り始めます。
木の実は、肉じゃがを食べて後輩に対してもっと優しく接する必要があると気づき、決意を新たにして、温人の自宅から帰って行きます。
その後、温人はたんぽぽから連絡を受けて一緒に夕食を食べることになったのでした。
【承】泣き終わったらごはんにしよう のあらすじ②
温人は、編集者として担当している漫画家たちと良好な関係性を築きながら順調に仕事を進めていました。
温人は優秀な仕事ぶりで同僚たちからも頼りにされ、仕事の進め方に関して度々相談を受けていました。
そんな中、毎月恒例となっている寿司屋でのたんぽぽとの食事をしようと早めに仕事を終えて帰ろうとしていた温人。
しかし、かつて担当していた漫画家・卯月と連絡が取れなくなったと相談を受けて、急きょたんぽぽとの食事をキャンセルして卯月のところに様子を確かめに行くことになります。
卯月に他の社員に頼まれてやって来たことを見抜かれつつも、卯月から少女漫画誌が自分をないがしろにして若手漫画家ばかりを使っていることに強い不満を持っていて、やる気をなくしてしまったことを聞きだすことに成功します。
温人は、かつて卯月が大好物だったパスタを振る舞い、純粋に漫画を愛して仕事をしていた気持ちを思い出してもらい、無事に卯月に仕事を再開してもらうことができたのでした。
【転】泣き終わったらごはんにしよう のあらすじ③
お互いに仕事が忙しく会えない日々が続く中でも、恋人のたんぽぽとこまめに連絡を取り合い、恋人として仲の良い関係性を保っていた温人。
しかし、たんぽぽからの仕事に対する相談のメールをもらった際に厳しい返事を返してしまったことがきっかけで、たんぽぽとの間に溝ができてしまいます。
たんぽぽとの仲直りのきっかけを?めないまま仕事を進めていた温人。
すると、後輩の編集者・北村が担当している漫画家・川本と大喧嘩をしてしまったと言って、仕事先から帰って来ます。
自分の行動を悔やみながら泣き続ける北村に元気を出してもらうために、温人はその場にあったチョコレートを使って、ホットチョコレートを作って北村に飲むようにと促します。
ホットチョコレートを飲んだ北村は、川本にすぐに謝罪をしに行くと同僚たちに話します。
すると、そこに川本のアシスタント連絡が来て、いつも締め切りに遅れそうになってばかりの自分に厳しい言葉を掛けた北村に対して、お礼がしたいと川本から頼まれてケーキを差し入れに来たと話し、北村と川本は和解できたのでした。
【結】泣き終わったらごはんにしよう のあらすじ④
温人は母親から初期の癌にかかったと連絡を受けて、しばらく帰ることができていなかった実家に久しぶりに帰ることになります。
母親から癌は本当に初期で治療してすぐに治るものだと聞いて温人は心配しつつも安堵します。
さらに、自分以外の家族や恋人のたんぽぽは母親から先に癌にかかったことを話してもらっていた、たんぽぽが温人には仕事が落ち着いてから話したほうがいいと提案されて後から話すことにしたと打ち明けられます。
それから、温人は母親から子どもの頃に仕事ばかりで構ってあげられなかったことについて謝罪されます。
しかし、温人は忙しい中で家事をこなして自分を含めた子どもたちを育ててくれて感謝していると言葉を返します。
その後、母親に親子丼を振る舞っていると父親が帰ってきます。
すると、母親は癌について家族に打ち明けた日に父親が鍋焼きうどんを作ってくれたことを打ち明けます。
それから、たんぽぽが温人の料理にも父親の料理にも元気になれる力があると話していたことを明かします。
そして、たんぽぽも実家に来ることになり、道が分からず迷っているたんぽぽを温人は迎えに行くのでした。
泣き終わったらごはんにしよう を読んだ読書感想
「泣き終わったらごはんにしよう」を読んで、温人の温かさが特に魅力的だと思いました。
温人は、家族や同僚、友人たちから、仕事や恋愛、子育てに関することまで様々な相談を受けます。
自分も忙しい状況にある中で、温人は1人1人の相談に真摯に向き合い、穏やかに優しい口調で励ましの言葉を掛けたり、それぞれの好みを考えながら料理を作って元気づけようとします。
温人が自分の周りの人を、何よりも大切にしようと全力を尽くしていることが些細な会話や行動から感じられて、好感を持ちました。
さらに、温人の人柄が現れている、素朴で温もりのある料理に元気をもらいお腹を空かせながら読んでいました。
コメント