【ネタバレ有り】クローバーナイト のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:辻村深月 2016年11月に光文社から出版
クローバーナイトの主要登場人物
鶴峯 裕(つるみね ゆう)
会計事務所で働く主人公。二児の父。
鶴峯 志保(つるみね しほ)
裕の妻。オーガニックコットンのアパレルブランドを起業。
鶴峯 莉枝未(つるみね りえみ)
鶴峯家の長女。しっかり者の五歳。
鶴峯 琉大(つるみね りゅうだい)
鶴峯家の長男。二歳。まだあまり話せない。
クローバーナイト の見どころ!
・家族思いの裕が問題をひとつずつ乗り越えていく姿
・保活、お受験などのリアルな課題
・家族が団結力を強めるラストシーン
クローバーナイト の簡単なあらすじ
保育園に通う一男一女を育てる鶴峯家。
裕と志保はお互いの仕事の合間を縫って育児に奮闘中です。
ママ友の間での不倫疑惑や保活に苦しむ知人夫婦、友人夫婦の影響で考え始めた受験問題など、子どもができる前は想像もしなかったような慌ただしい生活を送っています。
しかし、二人の可愛い子どもを見ていると、裕は家族の幸せのためにどこまでも頑張ろうと思えるのです。
日本社会の育児における課題にも触れた社会派日常物語です。
クローバーナイト の起承転結
【起】クローバーナイト のあらすじ①
会計事務所で働く裕と、アパレルブランドを立ち上げた志保は、子どもたちを保育園に預けています。
保活と呼ばれる熾烈な受け入れ保育園の確保に苦しんだ時期もありますが、共働き夫婦ということで最終的には希望の保育園に入園することができました。
夫婦は気さくな性格なので、保育園に通うママ友たちとも仲良く過ごしています。
定期的にママ友たちのホームパーティーに参加したりもしますが、ある日、仲の良いママ友が不倫をしているのではないかという噂を聞きます。
そのママ友からの間違いメールで、家に招待する旨のメールが届き、その後間違いを訂正する旨の連絡が来るものの、何か様子がおかしいというのです。
しかし、その後、そのママ友は不倫をしているのではなく、定期的にホームクリーニングの業者を家に呼んでいただけということがわかります。
家事をサボっているようで、ママ友の間ではホームクリーニングを入れていることを知られたくなかったために不自然な反応になってしまったのです。
裕は妻からその話を聞いて、ママ友同士だからといってなんでも話せる関係ではないのだな、と改めて人間付き合いの難しさを感じます。
【承】クローバーナイト のあらすじ②
ある日、裕は取引先の社長に、妻が娘の保活に悩んでいるからアドバイスをしてやってほしいと頼まれます。
後日、裕夫婦と社長夫婦はレストランで話をすることになりました。
社長夫人は相当悩んでいるようで、かなり憔悴した様子でした。
というのも、社長夫人は出産前まで通訳としてキャリアを積んでおり、今保活に失敗すればそのキャリアが崩れてしまうのです。
その反面、社長はどことなく他人事で、裕は少し不安な気持ちになりました。
妻同士が仲良くなれば、社長夫人も気が楽になるかもしれないと、裕は社長に志保の連絡先を渡しますが、社長は婦人にそれを渡さなかったようで、それ以降志保のもとに社長夫人から連絡がくることはありませんでした。
その後、仕事で社長と顔を合わせた裕は、社長夫妻が保活のために偽装離婚をするつもりだということを知らされます。
裕はそれが保活のためではなく、社長のための離婚なのではないかと疑います。
社長には常々不倫の噂があったからです。
保活を口実にして妻と縁を切り、不倫相手と一緒になろうという魂胆だと裕はにらみます。
裕はその考えを自分の上司に話します。
社長のことも良く知っている上司は、社長のもとに出向いて社長を一喝します。
しばらくすると、反省した様子の社長がやってきて、離婚のことは考え直し、改めて違う方法で保活に励むつもりだと宣言します。
裕は先輩パパとして、社長が少しでも育児に前向きになってくれたことに安堵するのでした。
【転】クローバーナイト のあらすじ③
志保の友人にも、莉枝未や琉大ほどの子どもがいることもあり、お受験のことが耳に入ってくるようになりました。
志保は仕事が忙しいので小学校受験をする余裕はありませんが、受験を志す人たちは二歳三歳の頃から必死に情報収集や習い事に励んでいます。
そんな様子を見て、志保はもっと子どものために時間を割くべきではないかと考えることが増えました。
しかし、志保が立ち上げたブランドは次第に人気が出てきて、出張に行く頻度も増えていきました。
裕はのびのびと子どもを育てたいタイプなので、受験に関しては特に考えがありませんでしたが、最近志保の様子がおかしいことに気が付きます。
きっかけは、志保の仕事仲間の言葉でした。
志保が中国出張のときに人気中国人俳優と接点があったこともあり、初めは志保がその中国人俳優と不倫をしているのではないかと疑います。
しかし、志保を信じている裕はそんなことがあるはずないと考えなおします。
そこで思い当たったのが、義母と志保との確執でした。
義母は琉大の言葉が遅いことを心配していました。
そのことで頻繁に義母は志保に連絡を取っていたのですが、志保はそのことを裕に隠していました。
そのせいで、裕に対して不自然な態度をとっていたのです。
【結】クローバーナイト のあらすじ④
義母は志保に対して、琉大を病院に連れて行って診察してもらえとしつこく迫っていました。
志保はそれを受け入れませんでしたが、次第に琉大に病気があるのではないかと密かに思い詰めるようになっていたのです。
偶然にも、琉大は義母と会うときはあまり話をしませんでした。
志保を問い詰めてその過程を聞いた裕は義母に対して腹を立てます。
そしてその年の新年。
裕たちは義母の家に新年のあいさつに行きます。
その日は比較的琉大も話をしたため、帰る時間までは平和に過ごすことができました。
しかし、帰る間際になって、義母が志保に対して「病院に必ず行きなさい」と声をかけます。
それを聞いた裕は静かに義母を説得します。
裕は、琉大を育てるのは自分と志保だということ、両親の方針に口を出さないでほしいということを伝えると、義母はそれ以降何も言いませんでした。
志保は改めて裕を見直し、少しでも琉大の病気を心配した自分を恥じます。
裕は改めて家族を守っていこうと決意をするのでした。
クローバーナイト を読んだ読書感想
保活やお受験、実家との確執など、子育てをするものなら必ず直面する要素がふんだんに詰め込まれた一冊です。
困難なことが起こり続けますが、裕と志保のたくましい両親と、可愛らしいきょうだいのお陰でほほえましく読み進めることができます。
育児で疲れている人にも読んでほしいです。
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