【ネタバレ有り】リターン のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:五十嵐貴久 2013年6月に幻冬舎文庫から出版
リターンの主要登場人物
梅本 尚美(うめもと なおみ)
迷宮入りした事件を追うコールドケース捜査班に所属する刑事。雲隠れしている殺人鬼・リカを追う。
青木 孝子(あおき たかこ)
尚美の同僚。先輩刑事の奥山と交際しており、結婚間近。
奥山 次郎(おくやま じろう)
捜査一課の刑事。孝子の恋人。強い責任感の持ち主。
リカ(りか)
尚美たちが追っている殺人鬼。「愛情のモンスター」と呼ばれている。
リターン の見どころ!
・リカが引き起こすショッキングな事件
・リカを追う尚美と孝子の執念
・尚美を襲う危機と衝撃のラストシーン
リターン の簡単なあらすじ
ある日、高尾山で手足と顔がない死体が発見されます。
それは、十年前にリカによって拉致されて行方不明になった本間のものでした。
もともとリカの事件を捜査していた尚美と孝子は、捜査本部に加わりますが、隠れてリカと接触を図っていた奥山がリカに殺害されます。
かたき討ちを誓う尚美と孝子も独断でリカに近づこうとしますが、リカは二人が思うよりも数段上手だったのです。
リターン の起承転結
【起】リターン のあらすじ①
ある日、高尾山に放置されていたスーツケースから、手足と顔のない死体が発見されます。
それは、十年前にリカという女性によって拉致され、その後消息不明になっていた本間という男性でした。
検死によると、本間はつい最近まで生きており、死因は食べ物が喉に詰まったことでした。
十年前、リカは本間のストーカーをしていました。
本間の娘を誘拐して警察に逮捕されたリカは、警察病院で看護婦を殺害し、本間のもとを訪れます。
その場でリカは本間の手足と顔のパーツを切断し、胴体だけを持ち去ったのです。
十年間、本間はリカのもとで、自由を奪われた状態で生かされていたのです。
リカの足取りは全くつかめず、警察内では完全に迷宮入りの事件として扱われていましたが、本間の死体遺棄によって、再び本格的な操作が始まりました。
特に、リカの逮捕に気合を入れているのは尚美でした。
尚美には慕っている菅原という上司がいました。
その菅原は、リカの事件を追っている最中に強い精神的ショックを受けて植物人間になっていました。
尚美は菅原の病院を訪れ、リカの逮捕を誓います。
【承】リターン のあらすじ②
捜査陣はリカの行方を追いますが、リカは全く足跡を残していませんでした。
高尾山から下山するリカの車は発見されましたが、それ以降の足取りがつかめません。
そんな時、孝子が刑事で婚約者の奥山と連絡が取れなくなったと言い出します。
孝子は捜査が忙しいのではないかと心配はしませんでしたが、不安がる孝子に付き合って奥山の自宅を訪れます。
奥山のポストには郵便物が溜まっていて、奥山は帰宅していないようでした。
それでも、孝子は合鍵を使って奥山の部屋に入ると、寝室で首を切られた奥山がいました。
孝子はショックを受けますが、これはリカの仕業だと直感し、警察に連絡する前に奥山の携帯を持ち出します。
孝子と尚美が奥山の携帯を調べると、そこには出会い系サイトの女とやり取りをしている履歴が見つかりました。
その相手の名前はリカでした。
リカが本間と出会ったのは出会い系サイトでした。
本間を失った今、再びリカは出会い系サイトに現れるだろうと踏んだ奥山は、見事出会い系サイトでリカとの接触に成功し、極秘でやり取りをしていたのです。
リカをおびき寄せて逮捕しようとした奥山は、その魂胆をリカに見抜かれて殺されたのです。
復讐に燃える尚美と孝子は、警察の正攻法ではリカを捕まえられないと思い、自分たちもリカに接触しようと決意します。
【転】リターン のあらすじ③
どうしたら不審がられずにリカをおびき寄せられるかを考えた尚美と孝子は、死んだ本間の名前を使うことを考えます。
本間の名前でリカに会いたいとメールを送ると、数時間後、リカから返信が返ってきました。
リカも本間に会いたいと思っているようで、尚美と孝子は駅でリカと待ち合わせをすることに決めます。
尚美は上司にリカをおびき寄せたことを報告し、駅に多くの私服警官を配置してもらいました。
大急ぎで二人は駅に向かいますが、通勤ラッシュの時間と重なってしまい、リカを見つけることは容易ではありません。
列車のどの号車から現れるかもわからないので、刑事たちは個々に別れてリカを待つことにしました。
尚美があるホームで待っていると、電車が到着し、扉が開きます。
リカらしき、長身のやつれた女性がそこには乗っていました。
しかし、リカは電車を降りません。
尚美はとっさにその電車に乗り込み、孝子にリカと同じ電車に乗ったことを報告します。
その電話を切った瞬間、尚美の目の前にはリカがいました。
リカに覆いかぶさられ、尚美の意識はそこで途切れます。
【結】リターン のあらすじ④
尚美が目覚めると、そこはリカの部屋でした。
直実の体は椅子に縛られ、逃げることはできません。
リカは尚美に本間はどこにいるのかと詰め寄ります。
逃げ場のない尚美はそれをはぐらかしますが、本間の場所を知らないのなら殺す、とリカは怒りをあらわにします。
尚美は時間を稼ごうとリカの話を聞きだします。
リカは警察に対しては勘が働くようで、待ち合わせの駅についた瞬間から刑事が待ち受けていることを悟り、電車を降りなかったのです。
尚美が刑事であることも既に見抜いていました。
尚美が本間はすでに死んでいることを伝えますが、リカは聞き入れてくれません。
リカの怒りは頂点に達し、メスを持ってきて尚美を傷つけようとします。
その時、部屋に孝子が入ってきて、リカを銃殺しました。
尚美にはGPSがつけられており、それを追って孝子が部屋の場所を見つけたのです。
孝子は奥山の仇を取るために、何度もリカの体に銃弾を撃ち込みました。
リカは即死でした。
尚美はリカが死んだことを、菅原に報告に行きました。
その時医師から、菅原の親族がより入院費の安い病院に転院させようとしていることを聞かされます。
尚美はとっさに自分が菅原を引き取る、と宣言します。
尚美は菅原に愛情を持っていることを自覚していました。
尚美は菅原を引き取って、世話をする毎日を想像します。
その目は、本間を愛するリカと同じ光を放っていました。
リターン を読んだ読書感想
常軌を逸したリカの言動が恐ろしい一冊でした。
しかし、なぜか病みつきになってしまう魅力があり、怖いながらもページをめくる手が止まりませんでした。
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