【ネタバレ有り】レパード 闇にひそむ獣 上・下 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:ジョー・ネスボ 2019年7月に集英社から出版
レパード 闇にひそむ獣 の主要登場人物
ハリー・ホーレ(はりー・ほーれ)
オスロ警察の警部。はぐれ者の刑事。
カイア・ソルネス(かいあ・そるねす)
オスロ警察の刑事。ハリーに惹かれる。
ミカエル・ベルマン(みかえる・べるまん)
中央捜査局(通称クリポス)の局長。
トニー・レイケ(とにー・れいけ)
コンゴに採掘所を持つ実業家。
シグール・アルトマン(しぐーる・あるとまん)
ハリーの父が入院している病院の看護師。
レパード 闇にひそむ獣 上・下 の簡単なあらすじ
ハリー・ホーレシリーズの第8作目に当たる作品です。
スウェーデンで、奇妙な連続殺人事件が発生します。
この捜査のために、香港から連れ戻されたハリー・ホーレは事件を担当しますが、次々に新たな犠牲者が出てきます。
事件にはコンゴの姿が見え隠れしており、ハリーもそこに注目していました。
一転、二転する捜査の結果、ハリーはついに真犯人の正体を突き止めます。
ハリーはコンゴに飛び、犯人と最後の決着をつけるのでした。
レパード 闇にひそむ獣 上・下 の起承転結
【起】レパード 闇にひそむ獣 上・下 のあらすじ①
ハリー・ホーレは前回の捜査が原因で元恋人ラケルに去られてしまい、失意の底にいました。
彼は香港で堕落した生活を送っていましたが、オスロ警察のカイアが彼の元へやってきます。
オスロで連続殺人が起きていて、ハリーの力が必要ということです。
戻る気はまったくなかったハリーですが、彼の父親の命が長くないことを聞かされて、スウェーデンに戻ることを決定します。
ハリーを待っていた事件は、2人の女性が自分の血液でおぼれ死んだという事件でした。
女性たちの口や喉には20を超える刺し傷があり、そこから流れ出た血が肺にたまって溺死したのです。
早速捜査に取りかかろうとしたハリーですが、部長のハーゲンからこの事件は中央捜査局(クリポス)の管轄と伝えられます。
今、警察内部では権力争いが起きており、クリポスがすべての殺人事件の捜査を統括しようとうごめいていたのです。
ハリーが呼び戻された本当の理由は、クリポスに気づかれないように捜査をすすめ、犯人を逮捕することでした。
重大事件の捜査でクリポスが役に立たなかったと内務省に印象付けることで、彼らの勢力拡大を抑えようという目論見なのです。
こうしてハリーは、カイアと鑑識課のビョルンとチームを組み捜査に当たることとなりました。
【承】レパード 闇にひそむ獣 上・下 のあらすじ②
ハリーが捜査を行うなか、また新たな殺人事件が発生します。
殺害方法は異なりますが、ハリーはこれが一連の事件と関係していると判断します。
しかし、クリポスがハリーの秘密の捜査をつきとめ、彼は締め出しを食らうこととなりました。
捜査を取り上げられたハリーですが、行方不明となっている女性に注目し、彼女もまた被害者の一人ではないかと考えるようになりました。
女性はコンゴからルームメイトに葉書を贈ったことがわかっています。
また、血で溺死した女性の口から微量のコルタンという物質が検出され、それがコンゴで採掘されているという情報を得て、ハリーはコンゴへ飛びます。
そこで武器を密売しているベルギー人の元を訪ね、紐を引けば、球体から複数の針が飛び出す”レオパルドの林檎”という凶器を見つけます。
犯人はこのレオパルドの林檎を使って二人の女性を殺害したのです。
スウェーデンに戻ったハリーですが次々に新しい犠牲者が出てきます。
そんななか、ハリーは被害者たちは同じ日の晩に、同じ山小屋に泊まった人々という接点を見つけます。
その中の一人が犯人だろうということで、ハリーが目をつけたのがトニー・レイケというコンゴに採掘所を持つ実業家でした。
ところが、彼が逮捕状を請求した後に、クリポスが先にトニーを逮捕したのです。
情報が筒抜けになっていたことに気づいたハリーはビョルンを疑いますが、実は裏切っていたのはカイアでした。
彼女はクリポス局長のベルマンと愛人関係にあったのです。
ところが、逮捕されたトニーは、2件の事件では被害者の死亡推定時刻にアリバイがあったことが判明して、釈放されます。
こうして事件はふりだしに戻りました。
【転】レパード 闇にひそむ獣 上・下 のあらすじ③
トニーがシロと分かって釈放すると、今度は彼が行方不明になってベルマンは焦ります。
そこで彼は、ハリーにクリポスの捜査に加わるように持ちかけます。
ハリーは香港からアヘンを持ち帰っていて、ベルマンはそのことでハリーに圧力をかけて、仲間に加えることに成功します。
カイアはトニーの誤認逮捕を責められたことから、ベルマンに都合よく利用されていたことに気づき、ハリーと和解して次第に彼との絆を深めていきます。
クリポスは、山小屋で囮捜査を実行し犯人逮捕を狙いますが、犯人は囮捜査を見破り、雪崩を起こすことで山小屋にいる人間全員を始末しようとしたのです。
雪崩から生還したハリーは、翌日、山小屋付近の谷底で遺体を発見しました。
身元不明のその遺体はトニーだと推測します。
捜査に行き詰ったハリーは、サイコパスにはサイコパスをと、かつて自分が逮捕した連続殺人者スノーマンの元を訪れ、アドバイスを願います。
交換条件でアドバイスをもらったハリーは、自分の父が入院している病院の看護師シグール・アルトマンを逮捕します。
彼の本当の名はオーレで、女性を巡ってトニーに半殺しにされた過去がありました。
シグールは、復讐するために、一連の事件がトニーの犯行に見えるように次々と殺害を起こしたのです。
そして、トニーを犯人にすることに失敗すると、今度は彼を亡き者にしたというのがハリーの推理でした。
ですが、この推理は外れます。
谷底に遺体はトニーではなく、シグールはトニーが女を殺す現場を見たというのです。
つまり、一連の事件の犯人は、トニーだったわけです。
彼のアリバイがあった2件の事件はレオパルドの林檎を使ったもので、被害者が仕掛けを作動させるまでのタイムラグがあったのです。
そして、トニーの婚約者も姿を消していました。
【結】レパード 闇にひそむ獣 上・下 のあらすじ④
ハリーとカイアは、トニーが向かったと思われるコンゴに赴きます。
最初は、山小屋での浮気が金持ちの婚約者にばれないために人を殺したトニーですが、殺人を繰り返すうちに狂気に支配されていました。
もはや、彼は婚約者も生かしておくつもりはありませんでした。
時間がないなか、ハリーは以前会ったベルギー人の武器商人の元を訪れ、トニーの居場所を知らないか訊こうとしますが、ベルギー人の姿はなく、代わりにトニーの部下に襲われます。
カイアも、トニーの屋敷を見張っていましたが、ハリーからのショートメッセージを受けて場所を移動します。
指定された建物の中に入ろうとしたときに、彼女はハリーがショートメッセージを使わないことを思い出し、これが罠だと思い至ります。
事実、ハリーの口にはレオパルドの林檎がはめ込まれており、ドアが開くと結び付けられたワイヤーによって、針が飛び出しハリーは死ぬことになっていました。
罠を回避したカイアでしたが、トニーの部下たちによって拉致されてしまいます。
意識を取り戻したハリーは、レオパルドの林檎を口から取り出そうと、自分の顎を砕いて頬を割きました。
間一髪のところで、林檎を取り出したハリーは、ベルギー人の武器庫から銃を取り、入ってきたトニーの部下たちを返り討ちにします。
狙撃ライフルを拝借したハリーは、トニーの後を追いました。
トニーは、婚約者とカイアを道ずれに火山の河口に飛び込もうとしていました。
ハリーは、ライフルでトニーの頭を撃ちぬこうとしますが、その弾はトニーと一緒に、彼の婚約者も撃ち抜いてしまいました。
今回の事件で消耗したハリーは、警察をやめようと決意し、カイアにも別れを告げて再び香港へと旅立ったのです。
レパード 闇にひそむ獣 上・下 を読んだ読書感想
文庫の上下巻合わせて1000ページに達しようかという大作です。
前半は得体の知らない犯人と、彼を追うハリーをハラハラしながら読むことができました。
徐々に事件の全体像が明らかになっていくと同時に、犯人を追う側のハリーにも危機が訪れるようになり、サスペンス色が濃くなってくるのが特徴です。
国をまたぐ捜査という大きなスケールで展開されるストーリーですが、その結末は北欧ミステリによくみられる苦いものでした。
満足な結末を得られず、父も亡くしたハリーは再び旅立ちます。
しかし、このシリーズはまだ続いています。
続編が翻訳され、また悪と戦うハリーの姿を期待します。
コメント