【ネタバレ有り】ソフトボーイ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:関口尚 2010年4月にポプラ社から出版
ソフトボーイの主要登場人物
鬼塚(おにづか)
主人公。 牛津高校の調理専門科に通う。
野口(のぐち)
鬼塚の幼なじみ。 男子ソフトボール部の部長。
草薙(くさなぎ)
服飾デザイン科の生徒。 ソフトボール部のマネジャー。
八嶋(やしま)
草薙の友人。
澤山(さわやま)
体育の先生。 臨時でソフトボール部の顧問を引き受ける。
ソフトボーイ の簡単なあらすじ
佐賀県の田舎町の高校で調理を学んでいる鬼塚の夢は、フランスに行って一流シェフのジャン・ピエールのもとで腕を磨くすることです。ある時に小学校から仲が良い野口に、男子ソフトボール部に勧誘されます。寄せ集めのメンバーにふたりのマネジャーとともに全国大会を目指す鬼塚でしたが、思わぬ決断を迫られることになるのでした。
ソフトボーイ の起承転結
【起】ソフトボーイ のあらすじ①
鬼塚は東京都出身の母親と、佐賀県の牛津という田舎町で暮らしている高校生です。
父親は鬼塚が小学5年生の時に交通事故に巻き込まれて亡くなってしまい、母は女手一つで息子を育てつつ中華料理屋「幸楽園」を切り盛りしていました。
地元の佐賀県牛津高校の調理科に通っている鬼塚は、3年生の春に小学生からの親友である野口からソフトボール部に誘われます。
佐賀県内には男子のソフトボールチームが1校もないために、校内で部活を立ち上げるだけで自動的に全国大会へ出場できるはずです。
口だけは達者な野口はあっという間に9人の部員を集めて、体育教師の澤山に顧問を引き受けてもらって男子ソフトボール部を結成しました。
女子マネジャーは服飾デザイン科に所属する草薙と、彼女の友人である八嶋のふたりに決まります。
鬼塚は草薙にひそかに思いを寄せていたので大喜びでしたが、八嶋には初対面の時から嫌われっぱなしです。
寄せ集めのメンバーは衝突を繰り返しながらも、夏の大会を目指して練習に励みました。
【承】ソフトボーイ のあらすじ②
いつものように練習でくたくたになって家に帰った鬼塚が郵便受けを開けると、パリに三ツ星レストラン「コートドール」を構えるジャン・ピエールからのエアメールが届いています。
ピエールが東京で開催する食材に関する勉強会に、期待のフレンチのシェフに加えて一般参加者として高校生の鬼塚も特別に招待されることが決まりました。
ピエールに目をかけてもらえれば、フランスに行って本格的に料理を勉強することも夢ではありません。
俄に未来が開けてきた喜びとともに、鬼塚には気掛かりになっていることが2つありました。
1つは海外行きがトントン拍子にうまくいった場合に母を独り置いてこの街を離れること、もう1つはワークショップの開催日がソフトボールの全国大会と同じ8月10日であること。
思い悩んだ末に鬼塚が選んだ道は、夏休みの合宿の終わりとともにチームを離れることです。
鬼塚はチームメイトからの拍手を受けてグラウンドを送り出されて、 代わりに美術部の森という生徒が入部しましした。
【転】ソフトボーイ のあらすじ③
1週間後に鬼塚が幸楽園の調理室で営業の準備を手伝っていると、地元テレビ局のアナウンサーからのインタビューに野口が答えていました。
牛津高校の男子ソフトボール部は、1回も試合をせずに全国大会出場を果たしたという快挙で注目を集めています。
テレビの画面を見つめる鬼塚の無表情は、父が交通事故で亡くなった頃の顔とそっくりです。
笑うことを忘れて家の中に閉じ籠っていたのを、外の世界へと連れ戻してくれたのが野口でした。
今度は自分が野口を助ける番だと決意した鬼塚は、ジャン・ピエールの勉強会を諦めて再びチームに戻ります。
全国大会の1回戦の相手は山形県代表の山形城南高校で、試合会場は静岡県です。
3回までは何とか0対0で食らいついていましたが、4回の裏に城南の猛攻が始まり一挙に31点のビッグイニングになってしました。
5回の表にようやく初ヒットが出ますが、最後のバッターの鬼塚が倒れてゲームセットです。
牛津高校の初めての全国大会は、31対0の大敗で幕を閉じます。
【結】ソフトボーイ のあらすじ④
鬼塚や野口たち3年生が引退した後に、澤山はソフトボールの指導者の講習会に出掛けて正式な監督に就任しました。
新しく入った部員たちも練習に熱心で、今度は予選を実力で突破して全国大会に出られるでしょう。
草薙は東京に行って、デザイナーの卵として毎日忙しく働いています。
大会が終わった後に鬼塚に告白してきたのは、それまで何かと突っかかってきた八嶋です。
間もなくふたりは付き合い始めて、 1年後に結婚して娘を授かりました。
高校を卒業した鬼塚は、母の望み通りに父が残した幸楽を受け継いで夫婦で切り盛りすることを選びます。
フランスへ行くという大きな夢が潰えたことは悔しいですが、今はこの店を九州で1番の中華料理店にすることで頭がいっぱいです。
店内のテレビでは、 21歳にしてジャン・ピエールの片腕となった野口がマイクを向けられています。 「地元の親友が急に行かないと言い出したから、 俺が行ってやった」と、真面目な表情で語っているのでした。
ソフトボーイ を読んだ読書感想
高校スポーツの中でも女子のイメージが強いソフトボールに、全力で打ち込んでいく少年たちが爽やかです。
「下から投げるのが恥ずかしい」や「女子じゃあるまいし」といった周囲の雑音に気をとられることなく、グラウンドの上で汗を流す姿には胸が熱くなりました。
はた迷惑の固まりのような野口にも、 時折小学生からの親友・鬼塚を思う優しさを垣間見ることができます。
ようやく出場が決まった全国大会の1回戦で、 あっさりとボロ負けしていまうシーンがほろ苦いです。
1度は夢を諦めながらも地元で生きることを決意する鬼塚と、友の夢を叶えるためにまだ見ぬ世界へ飛び出していく鬼塚とのコントラストが心に残りました。
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