「レプリカたちの夜」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|一條次郎

「レプリカたちの夜」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|一條次郎

【ネタバレ有り】レプリカたちの夜 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:一條次郎 2016年1月に新潮社から出版

レプリカたちの夜の主要登場人物

往本(おうもと)
動物レプリカ工場に勤める主人公。ある日の残業中に、動くシロクマを見つけて以来、摩訶不思議な出来事に巻き込まれていく。

粒山(つぶやま)
往本の同僚。お調子者で女性にもてるが、禿げていることを気にしている。

うみみず(うみみず)
往本の同僚。サバサバした性格だが、動物愛護の精神が強い。

レプリカたちの夜 の簡単なあらすじ

ある日、往本が連日の残業をこなしていると、動くシロクマが現れます。往本は驚いて逃げ帰りますが、そのことを知った工場長から、「シロクマを殺せ」と命令されます。シロクマは本物なのか、それとも工場に忍び込むスパイなのか。往本がシロクマについて調査を始めると、驚くべき出来事が次々に起こるのでした。

レプリカたちの夜 の起承転結

【起】レプリカたちの夜 のあらすじ①

シロクマとの出会い

往本が務めている動物レプリカ工場は、社員同士の連携が希薄で、誰がどこで働いているのかもよくわからない状態でした。

往本の上司は行方不明で、往本は入社当時から自分でマニュアルを見て仕事を覚えていったのでした。

その割に仕事量は多く、往本は連日残業をこなしていました。

ある日、夜間に残業をして帰ろうとすると、目の前にシロクマが現れます。

とっさに、他部署の人がシロクマのレプリカをしまい忘れたのだと往本は思いますが、なんとそのシロクマは動いたのです。

襲われる、と思った往本はその場から逃げ帰ります。

翌日、動くシロクマに遭遇したことを同僚の粒山に話しますが、粒山は往本の冗談だと思い、全然取り合ってくれません。

そこに、話を小耳にはさんだ工場長が登場し、二人を工場長室に連れていきます。

そこで二人は、工場長にシロクマについての調査をしてくれと頼まれます。

断ることができずにいる往本を、粒山は「自分はシロクマに会っていないのにどうして巻き込まれなきゃいけないんだ」と文句を言うのでした。

【承】レプリカたちの夜 のあらすじ②

出来事たち

通常業務とシロクマについての調査を並行させるのは、とても難しいことでした。

ましてや、シロクマは一度往本の前に現れて以来、一度も出現していないのです。

同僚のうみみずにも手伝ってもらいますが、動くシロクマについての話をとりあってもらうことはできません。

そして、調査を続けていくと、次々と不思議な出来事が起こるのです。

まず、粒山から魚釣りに誘われた往本は、粒山と一緒に川に行きますが、粒山がピラニアを釣り上げたことにより川が怖くなって、すぐに帰ります。

しかし、翌日会社に行くと、心配そうな顔をした粒山につかまります。

粒山曰く、往山は事故に遭って一週間寝たきりだったというのです。

確かに、記憶はありませんが、時計やカレンダーは一週間が経過していました。

そのほかにも、未婚であるはずの粒山の嫁だと言い張る女性に出会ったり、謎の女が家に乗り込んできて自殺ゲームに誘われたりと、往山のもとには理解できない出来事が次々と発生するのでした。

【転】レプリカたちの夜 のあらすじ③

シロクマ部長

ある日、往山が出社すると、緊急集会に招集されました。

集会に向かうと、シロクマが往山の部長に就任するという発表があったのです。

往山は驚くが、社員一同は普通に受け止めています。

どういうことなのか理解ができず、往山は集会の後に工場長のもとに向かうと、工場長室のなかで工場長は惨殺されて死んでいたのです。

驚く往山の背後から忍び寄る影がありました。

シロクマです。

シロクマは往山に殴りかかり、捕まえた往山を窓から投げ出します。

奇跡的に往山は助かりました。

同僚のうみみずに助けを求めに行きますが、うみみずは「シロクマ部長がそんな乱暴なことするわけないじゃないか」と冷静に言うだけで、解決策を出してはくれません。

しかし、そんなときに往山は白昼夢を見ます。

シロクマに襲われて倒れたうみみずを往山が安全な場所に避難させようとうみみずを抱え階段を上っていると、シロクマが階段の上から突き落とすのです。

そんな光景がなんども目の前で繰り返され、往山はパニックになります。

【結】レプリカたちの夜 のあらすじ④

クローンは誰だ

摩訶不思議な出来事に翻弄される往山は、出社はするものの憔悴していきます。

そんなとき、会社から「今月の給料は現物支給だ」という案内がありました。

現物は福袋形式で、中身は人によって違うようです。

往本はうみみずのレプリカ、うみみずはカッパのレプリカ、粒山は四つ耳ウサギのレプリカを手に入れます。

往本がうみみずのレプリカを前に困惑していると、本物のうみみずがやってきます。

このレプリカは、空気に触れさせると生きているかのように動くのです。

まるで、往本が見たシロクマのレプリカのように。

往本は、レプリカのうみみずはまだ動きがぎこちないため、レプリカであると判断できるが、今後どちらがうみみずなのかわからなくなるな、という心配を抱きます。

そしてその心配は的中します。

なんと、人間たちと、人間が手に入れたレプリカが殺し合いを始めるのです。

最後には、往本そっくりのレプリカも登場し、往本は自分が本物の往本なのか、それともレプリカの往本なのかがわからなくなり、混乱状態に陥るのでした。

レプリカたちの夜 を読んだ読書感想

難解なストーリーでした。

登場人物の会話がウイットに富んでいたので面白く読むことはできたのですが、全体的に哲学のにおいがしていて、軽い気持ちでは読めないな、と感じました。

人間と動物の本質であったり、自己についての考察部分が多かったので、ついていくのに必死でした。

特に、登場人物のうみみずの考え方はレベルが高かったです。

単純に動くシロクマと戦う話なのかな?と思っている人にはお勧めはできません。

ただ、少し背伸びした話を読むことができて、自分のレベルアップにつながったと思います。

もう一度読んで理解を深めたいです。

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