【ネタバレ有り】三毛猫ホームズのプリマドンナ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:赤川次郎 1994年10月に角川書店から出版
三毛猫ホームズのプリマドンナの主要登場人物
片山義太郎(かたやまよしたろう)
主人公。捜査一課の刑事。上司の栗原に命じられコンクールの警備に当たる。
朝倉宗和(あさくらむねかず)
日本を代表する指揮者。
井田貴子(いだたかこ)
コンクールの優勝候補。
丸山恭子(まるやまきょうこ)
コンクールに参加するため母・理子と共に上京する。
玉野文男(たまのふみお)
恭子の幼馴染み。
三毛猫ホームズのプリマドンナ の簡単なあらすじ
声楽コンクールの参加者をターゲットにした、劇薬混入事件が発生します。警視庁捜査一課の片山義太郎、妹の晴美、部下の石津、猫のホームズ。会場に駆け付けたお馴染みの3人と1匹は、事件の背後に隠されている意外な真実を知ることになるのでした。
三毛猫ホームズのプリマドンナ の起承転結
【起】三毛猫ホームズのプリマドンナ のあらすじ①
井田貴子は裕福な家庭に生まれ育って、ピアニストとして有名な母親の英才教育を受けながらソプラノ歌手を目指していました。
今回参加することとなった声楽コンクリートの審査員のメンバーには、世界的に活躍する指揮者・朝倉宗和も名を連ねています。
前日からコンサートホールの近くにあるホテルに宿泊していた貴子に朝食会場で話しかけてきたのは、同じコンクールに参加するために遥々北海道から上京してきた丸山恭子です。
見るからに田舎くさくパッとしない恭子を、開催前から優勝候補として注目を集めている貴子はあからさまに見下してまるで相手にしません。
バイキング形式のために自分の好きなメニューを取りに行った貴子は、サラダやジュースのあるテーブルに向かいました。
先に並んでいた恭子を押しのけてサラダを盛りつけた貴子は、自分の席に戻って食事を始めます。
彼女の甲高い悲鳴がホテルのレストランに響き渡ったのは、それから僅か1分間後のことです。
【承】三毛猫ホームズのプリマドンナ のあらすじ②
朝倉と警視庁捜査一課の課長・栗原とは旧知の間柄になり、部下の片山義太郎は会場の警備を命じられてました。当然のように片山についてきて、ロビーや控え室をうろちょろしているのは妹の晴美と三毛猫のホームズです。参加者も続々と楽屋入りしていますが、恭子だけはハンドバッグに入れたはずの参加票が見当たらないため中に入ることが出来ません。
楽屋口で参加票をチェックしていた石津は気の毒に思い、独断で彼女を通してあげます。
付き添いにきた母親の理子と地元から駆け付けた幼馴染みの玉野文男の応援もあり、第二次選考をトップの成績で突破したのは恭子です。
大方の予想は貴子の圧勝のはずでしたが、思わぬ対抗馬の出現に会場内がざわめき始めました。
そんな中で何者かにホールの裏手に呼び出された玉野が、頭上にコンクリートブロックを落とされ大怪我を負ってしまいます。
病院に搬送された玉野でしたが、彼は片山たちを前にして意外な告白を始めました。
【転】三毛猫ホームズのプリマドンナ のあらすじ③
サラダに劇薬を混入して騒ぎを起こしたのは玉野で、予め貴子と打ち合わせしていた狂言でした。
貴子は恭子の歌声を事前審査のテープを入手して聞いていて、その時から勝手にライバル視するようになります。ハンドバッグから参加票を盗み出したのも幼馴染みを誘惑して操っていたのも、全ては恭子を動揺させる目的です。
玉野はコンクリートブロックの落下は「天罰」と思い込んでいるようでしたが、何故かホームズはコーラの空き缶を転がして遊んでいます。
ホームズの意味深な仕草にピンときた片山は、ブロックを人目につかないように運ぶトリックを見破りました。
事務室から売店の店員のユニフォームを持ち出し、コーラの箱の中にブロックを隠せば誰からも怪しまれません。
犯人は娘の気持ちを踏みにじったことに腹を立てた理子で、彼女はあっさりと自白します。
コンクールが終わるまでは恭子に黙っていて欲しいと涙ながらに訴える理子に対して、片山は静かに頷くのでした。
【結】三毛猫ホームズのプリマドンナ のあらすじ④
本選でも恭子は持てる力の全てを発揮して見事にコンクールの第一位に輝き、司会者から首に輝くようなメダルをかけられました。鳴り止まない拍手を受けながら舞台袖に引っ込んできた恭子を待ち受けていたのは、第二位に終わった貴子です。
今や貴子は恭子の才能を素直に認めていて、ライバルと握手を交わしてエールを送ります。幸いにして軽症で済んだ玉野は自分を狙った犯人に気がついているようでしたが、あくまでも天罰と言い張っていました。当人が言っているために警察としてもこれ以上は捜査を続けることが出来ないため、理子は罪に問われることはないでしょう。
熱心なアンコールを受けた恭子は、再び大勢の観客の前へと戻っていきます。真っ直ぐに背筋を伸ばして両手を前に組んでステージの上に立つ恭子の姿には、以前のようなおどおどとした様子は微塵もありません。朝倉が指揮棒を取り上げてサッとひと振りする前に、ホームズは楽し気に「ニャー」と鳴くのでした。
三毛猫ホームズのプリマドンナ を読んだ読書感想
一見すると華やかな音楽コンクールの世界の、どろどろの人間模様と舞台裏がリアリティー溢れていました。
オペラや観劇への並々ならぬ思い入れや、蘊蓄やこぼれ話も満載で興味深かったです。
多忙な執筆活動の合間を縫って、音楽鑑賞を楽しむ著者の姿が思い浮かんできます。
何時ものことながら強引な上司に押し付けられて、嫌々ながらも猫のホームズと力を合わせて事件の捜査に当たる主人公・片山義太郎がユーモアたっぷりです。
それぞれの思惑が複雑に絡み合っていく中でも、お互いを思い合う恋人たちのピュアな気持ちにはホロリとさせられました。
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