監督:M・ナイト・シャマラン 2004年9月にブエナビスタから配給
ヴィレッジの主要登場人物
アイヴィー・ウォーカー(ブライス・ダラス・ハワード)
村の村長の娘。盲目だがとてもアクティブで明るい性格。ルシアスを想っている。
ルシアス・ハント(ホアキン・フェニックス)
村に必要な薬などを調達するために町に行きたいと志願している青年。寡黙で大人しい。
ノア・パーシー(エイドリアン・ブロディ)
精神疾患があり子供のように無垢な心を持つ。アイヴィーと仲がいい。
エドワード・ウォーカー(ウィリアム・ハート)
アイヴィーの父で村の村長。娘の願いを聞くためにある決断を下す。
アリス・ハント(シガニ—・ウィーバー)
ルシアスの母。夫とは死別している。
ヴィレッジ の簡単なあらすじ
アメリカの深い森に囲まれた小さな村では、人々が自給自足で暮らしていました。
村には奇妙な「掟」があり、それは決して森の中へは足を踏み入れてはいけないということ。
森の中には怪物が棲んでいるのですが、お互いの境界に踏み入らないという暗黙の約束の元、平和な暮らしが維持されているのです。
しかしある日をきっかけに村の中には怪物の気配が漂うようになります。
村人は怯え、不穏な空気が流れますが、村にはある驚愕の秘密が隠されているのでした。
ヴィレッジ の起承転結
【起】ヴィレッジ のあらすじ①
1897年アメリカ。
ある小さな村では、わずか7歳で亡くなった少年ダニエルの葬儀が行われていました。
涙にくれる父親を、人々は悲しそうな表情で見つめています。
森からは恐ろしいうなり声が聞こえ人々は不安に感じますが、ノアだけは手を叩いて喜んでいました。
ノアには精神疾患があるのです。
村には奇妙な掟がありました。
それは「けっして森の中へは入らないこと。」
森には怪物が棲んでいて、境界線を越えないことで怪物も村を襲うことがなく、村の平和が保たれているのです。
人々はそれを守って暮らしていました。
ある日、寡黙な青年ルシアスが、薬をもらいに町に行きたいと森を通る許可を求めてきました。
しかし村の年長者からは許可を得られません。
数日後、村長エドワードの娘キティが好意を寄せるルシアスに告白をし、フラれてしまうという出来事がありました。
大泣きするキティを、妹のアイヴィーがなぐさめます。
アイヴィーは盲目ですがとても明るく、いたずらをするノアを注意したり、一緒に遊んだり、目が見えないとは思えないほどとても活発な性格でした。
そして密かにルシアスに想いをよせていました。
相変わらず許可を得られないルシアスはこっそり森に入って、不吉な色とされている赤い実を摘んで村に戻ります。
その後村では、殺され皮を剥がれた家畜が発見されるようになりました。
人々は協定が破られたわけがない、コヨーテか狼では?と話し合います。
ルシアスの母アリスはルシアスに、父親が過去に町で殺された、町には行ってほしくないと伝えました。
ある夜、ついに怪物が村の中に入り込みます。
村人はみな急いで家にある地下の中へと逃げ込みました。
しかしルシアスを待つためにポーチに出ていたアイヴィーに怪物が近づきます。
そこを間一髪のところでルシアスが家に引っ張り、なんとか逃れることができました。
翌朝、村人の家の扉には、警告を表すかのように赤い印がつけられていました。
【承】ヴィレッジ のあらすじ②
すぐに次の相手を見つけたキティの結婚式が開かれました。
村は喜びに包まれます。
クラック夫人がアイヴィーに「キティは姉にそっくりだわ」と笑顔で話しかけました。
なぜ村にいないのかと質問するアイヴィーに、クラック夫人は顔を曇らせて「姉は22歳で殺されたの」と明かします。
夜にはパーティーも開かれ、みな楽しそうに踊っていました。
しかしそこに子供の悲鳴が響きわたります。
村の中で怪物を見たというのです。
その後村人が見たのは、辺り一帯に散らばった無残な家畜の死体でした。
まだ夜が明けきらないころ、アイヴィーはポーチにルシアスがいるのを感じて横に座ります。
ルシアスは一連の騒動が森に入った自分のせいだと悔やんでいました。
アイヴィーはルシアスをなぐさめて気持ちを伝えます。
そして2人はお互いの気持ちを確かめ合い、結婚の約束をしました。
すぐに2人の婚約は村中に知られることになりました。
しかし自身もアイヴィーのことを慕っていたノアが精神的に不安定になり、ルシアスをナイフで刺すという事件を起こしてしまいます。
ルシアスは一命は取り留めましたが予断を許さず、アイヴィーは取り乱しノアに怒りをぶつけました。
そしてルシアスの薬を手に入れるため町に行きたいとエドワードに懇願します。
エドワードは妻や村の年長者と議論し「誓いをたてたでしょ」と反対されますが、娘とルシアスのため森へ入ることを許可することにしました。
そしてアイヴィーを納屋へと連れて行きながら、アイヴィーの祖父の話をします。
町で一番裕福だった祖父は良い人でしたが、人を見る目はなかったと言います。
そして祖父はその金のせいで殺されていました。
「悲鳴を出してはいけないよ」と前置きして、エドワードはアイヴィーを納屋の中へと案内しました。
【転】ヴィレッジ のあらすじ③
ルシアスに町に行くことを伝え、アイヴィーは森に入りました。
村の若い男2人が途中まで付き添うことになっています。
ところが怪物の正体を知らない2人はずっと怯え続け、「君は目が見えないから怪物に襲われないよ」と言ってついには村へと逃げ帰ってしまいました。
1人になったアイヴィーは納屋に入った時のことを思い出します。
手を伸ばすアイヴィーにあるものが触れました。
それは怪物の被り物でした。
エドワードは、年長者が怪物に扮していたのだとアイヴィーに明かします。
全ては村人を町へと行かせないための作り話だったのです。
エドワードは「村のことを町の人間に言ってはダメだ。
ルシアスを救えるのはお前しかいない。」
と伝えました。
アイヴィーが町へ向かうと告げたことで、年長者たちは「ここまで築き上げたものが危険にさらされる」とエドワードを責めます。
しかしエドワードは娘の悲しみに耐えられない、と「アイヴィーやルシアスら若者のために未来がある。
正当な目的のためならすべてを危険にさらす覚悟がある」と訴えました。
それができないなら自分たちが守り抜いてきた“無垢な世界”などない、と。
年長者たちは戸惑いながらもエドワードに理解を示しました。
「悲しみは人生の一部だ。
終わる時は終わる。」
他の年長者たちも町で大事な人を犯罪で失っていたのです。
—アイヴィーは小川の音を頼りに町へ向かって歩き続けます。
雨に打たれたり穴に落ちたりと道は険しいですが、それでも進み続けました。
しばらくしてアイヴィーは何者かの気配を感じ始めました。
怪物のはずはありません。
しかしそれはあの怪物の被り物を身に着けています。
そしてついにはアイヴィーに襲いかかりました。
アイヴィーは逃げ惑いながらもそれをなんとかかわして、穴の中に突き落とすことに成功します。
アイヴィーには見えませんでしたが、それは被り物をしたノアでした。
ノアはそのまま静かに絶命します。
【結】ヴィレッジ のあらすじ④
その後アイヴィーはついに、森を囲む塀までたどり着きました。
塀を乗り越え向こう側に降り立ったアイヴィーの耳に、付近をパトロールしている車の音が入ります。
アイヴィーには何の音かわかりません。
車には「ウォーカー野生生物保護区」の文字があります。
実は物語の舞台は1897年ではなく現代で、“村”は保護区の中にあったのでした。
アイヴィーの祖父が持っていた森の中にエドワードが私財を投げうって村を作ったのです。
すべては犯罪のない理想郷を築くために、子供たちを危険から守るために。
そして保護区ということにして、誰も立ち入らぬよう警備員に監視してもらっているのです。
警備員が無線で報告してからアイヴィーに声をかけると、アイヴィーは薬の名前が書いてあるメモを手渡し、薬が欲しいと懇願します。
警備員はアイヴィーの服装や様子を不審に思いながらも事務所に戻り、上司をごまかしながらこっそりと薬を持ち出そうとしました。
上司は新聞を読みながら「知らん連中と余計な話をするな。
我々の給料は遺産で払われている。
我々の仕事は保護区を監視する、それだけだ」と忠告します。
警備員はそれをうまく聞き流しながら、ハシゴを持ってアイヴィーの元へと戻りました。
その後アイヴィーは村に戻り、襲ってきた怪物を殺したことも伝えました。
年長者たちはノアを見つけて立派な葬式をあげてやろうと話します。
ノアは化け物に襲われたということにすることにしました。
ノアが作り話を現実にし、ここで暮らし続けるチャンスをくれたのです。
その後アイヴィーは薬を持ってルシアスの元へ駆けつけ、ルシアスの手を強く握りしめました。
ヴィレッジ を観た感想
M・ナイト・シャマランらしい衝撃のラストを体感できる作品です。
村の秘密、設定がうまく練られていて、なかなか想像しがたいどんでん返しを観ることができました。
ホラーというよりはミステリーですね。
物語の背景には村に住む年長者たちのあまりにもつらい過去があります。
不測の事態でここまで築き上げた平和が崩れそうになりますが、ヒロインが盲目であることでうまくごまかすことができ、村がそのまま維持されるというのも見事です。
村で一番“無垢な存在”であったはずのノアによって、一番遠ざけたかった犯罪が起きてしまうというのもなんだか皮肉な感じがしました。
しかしノアのおかげで、村人に怪物の恐怖をさらに植え付けることができるのです。
とにかくとても巧妙な脚本に、感嘆してしまいました。
コメント
本当の盲人を家族に持つ人は解ると思うが、盲人はあんなに素早くぬかんだ土と葉っぱと枝で満ちた森の中を動けないし直線に走るなど不可能、必ず何度ももコケる上に全力疾走したら立ち木に思いっきりぶつかって頭を打って気絶する。「その人の色が見える」とかも嘘っぱち。盲人だから2000年代や文明の利器が解らないという琴似したいがための無理矢理な設定なのでずっと萎えまくり。