【ネタバレ有り】ある奴隷少女に起きた出来事 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:ハリエットアンジェイコブズ 訳 堀越みゆき 2017年7月に新潮社から出版
ある奴隷少女に起きた出来事の主要登場人物
リンダ(りんだ)
主人公、奴隷として生まれる、奴隷から脱却するために奔走する
祖母()
リンダの祖母でリンダの心強い味方
フリント
悪魔のような狡猾な男でリンダを精神的にも虐待する。リンダより40歳以上歳上
ベニー()
リンダの息子
エレン()
リンダの娘
ある奴隷少女に起きた出来事 の簡単なあらすじ
特に差別があった南部に奴隷として生まれたリンダは大きくなるにつれ主人のドクターフリントから性的な虐待を受ける。反抗を試みるも自体は悪い方向に向かう子供達の自由の脱走することを決意する。奴隷制度に抗う女性のノンフィクション小説である。
ある奴隷少女に起きた出来事 の起承転結
【起】ある奴隷少女に起きた出来事 のあらすじ①
リンダは奴隷大工の父のことして生まれ、二年後弟ウイリアムが生まれる。
可愛がられて育つが6歳の時母が亡くなりその時の周囲の様子などから自分が奴隷だと言うことをはじめて知る。
母は祖母の主人のお嬢さんの奴隷であり乳姉妹でもあり、母はお嬢さんの召使いとして忠実につかえたため、お嬢さんは枕元で子供たちには苦労させないと約束してくれた。
その約束通り重労働をさせられることもなく幸せに暮らすがお嬢さんは病気になり死んでしまう。
お嬢さんは死後自由にしてくれるのではないかと期待するが金になる奴隷をみすみす話すはずがなくリンダ12歳の時リンダとウイリアムは遺言によりお嬢さんの姪(5歳)の奴隷になることに決まる。
12歳と分別ある年頃なため将来に絶望するも祖母に励まされ頑張る決意を固める。
ドクターフリント(本作最大の敵)はお嬢さんの姉の夫で好色物な人物であろリンダはその家の所有物となってしまい地獄の日々がはじまる。
【承】ある奴隷少女に起きた出来事 のあらすじ②
フリント家に入って1年目に父が死亡した知らせを受ける。
また祖母の主人がなくなり祖母が主人の遺言(主人の死後祖母を自由にする)を無視され競売にかけられるが主人の姉が落札して祖母を自由にしてくれる以後祖母は可能な限りリンダとウィリアムを助けてくれる。
最初の数年はそれなりに可愛がられたが15歳になるとフリントから卑猥な言葉をかけられるようになる。
飴と鞭を使い分けリンダに服従を迫ってくる守ってくれる法もなく祖母には羞恥心などから話せずリンダは困り果てる。
そのころサンズ氏(白人)と知り合い仲良くなる。
奴隷が子供ができると奴隷と子供が売られることが多いのを知っていたリンダはサンズ氏との子を宿す売りに出されたらサンズ氏に買ってもらう算段だった。
しかしドクターフリントは売るとは言わず小屋に閉じ込められてしまう。
フリント夫人や祖母にまでののしられ更に絶望する(祖母とはすぐに和解する)男の子を出産してしばらくしてにさらに子供を身ごもる。
フリントに父親がサンズ氏だと感ずかれる。
子は母の身分を継承するという法があり(リンダの場合は奴隷)、フリントに成長したら子供を競売にかけると言われ危機を感じ脱走計画を立てる。
フリントに子供の父親と縁を切りフリントの言うことをきけば子供と小屋に暮さてやる、きかなければ農場(重労働で奴隷の扱いが特にひどい)にリンダと子供をおくると言われる。
リンダは脱走のために農場を選び農場送りになる。
【転】ある奴隷少女に起きた出来事 のあらすじ③
農園に付くとフリントの息子夫婦が待ち受けていて仕事の指示を出された。
リンダは生活に満足してるようにふるまった娘は生活に順応できず体調を崩したりした。
安息日に祖母の家に行き脱走の準備をした。
リンダが脱走をすれば子供達も脱走する可能性がたかまりそれよりは金に換えた方がいいとフリントは子供を売りに出すに違いないとリンダはよんでいた。
一人農園に戻り仕事をし暗闇に乗じて脱走を決行して友人にかくまってもらう。
フリントは激怒して懸賞金をつけて探す広告を貼りだす、捜索は執拗に行われ近くまできたら茂みにかくれたりしてやりすごす。
祖母の友人の夫人にかくまってもらい小部屋に身をひそめていた。
フリントはニューヨークにリンダが逃げたと思い込み500$借金をしてまで捜索したが空振りに終わる。
フリントの出費をみはからいサンズ氏が商人を送り込みフリントにリンダの子供二人と弟ウイリアムを売ってくれるよう交渉し成功する。
所有権がサンズ氏にうつる(サンズ氏は子供たちを自由にすると約束してくれた)。
子供たちは祖母と暮らしはじめるリンダは祖母の家の小部屋にうつる(子供達には秘密)。
子供たちのために衣服ぬったり陰ながら応援する。
しばらくしてサンズ氏が下院に出馬し当選する。
リンダはサンズ氏が子供たちを自由にするという約束を果たしていないことに不安を感じるサンズ氏はウイリアム(奴隷として)を連れてワシントンに行く。
ワシントンでウイリアムが逃亡するサンズ氏は大金で購入してるので気に入らない。
その補填をリンダの子供でするのではないかとリンダは不安になる。
リンダの娘(エレン)がサンズ氏の妹夫婦に預けられた
【結】ある奴隷少女に起きた出来事 のあらすじ④
7年もの逃亡生活を得て北部(南部より差別がない)への脱出をついに決心する。
友人の協力を得て北部(ニューヨーク)にたどりつき、新たな友人を作りながら娘と再会、娘があまり可愛がられていないことに気付く、教育を受けさせると約束しやはずなのに読み書きができないことを知る。
娘にいっしょに暮せないの?と言われるもリンダには稼ぎがないのでできずまずは仕事を探すことにする。
サンズ氏は自由にしてくれるという約束を果たしてなかったので南部に残したベニーのことも心配になる。
仕事は友人の紹介もあり乳児の世話をする仕事にありつくその母のブルース夫人と仲良くなる。
フリントの隙をついて祖母がベニーを北部に脱出させリンダと再会する。
フリントは相変わらず捜索を続けリンダはピンチに陥ったりするがブルース夫人の協力をえてエレンとベニーともにボストンに逃げる。
その春ブルース夫人死亡の知らせを受ける。
ブルースは夫人の親族に子供をみせるため夫人の故郷イギリスにいくたびにリンダを指名する。
イギリスではじめて差別のない環境を目撃する。
その間働いていたベニーがいじめにあい捕鯨船に乗り込んでしまっていた。
その後2年間勉強教えながら娘と生活していたが娘の寄宿舎学校入学にともないリンダは一人になる。
リンダは弟事業をやるが失敗に終わる。
その後あらたな職を求めてブルース家を訪ねると再婚していてちょうど子供ができていてお世話を頼まれる。
ニューヨークは逃亡奴隷にとって危険な街になっていたが夫人の協力でやりすごすことに成功する。
しばらくしてフリント死亡の知らせを受ける。
しかし奴隷の権限は親族にうつるのでまだ油断ができない。
ブルース夫人はフリント家からリンダを買い取ることに成功してリンダを自由にする。
こうしてついに自由をリンダが手にいれたところで物語は終わる
ある奴隷少女に起きた出来事 を読んだ読書感想
この物語がノンフィクションだということにまず驚きました。
奴隷側からの視点ということに価値があると思います(この本にも書かれてますが奴隷で字が書ける人は稀)主人公のリンダは本当になにも悪くないのに奴隷ということで理不尽な扱いを受け、大きくなるにつれて性的虐待を受けていく、この心情が生生しくかかれていて泣いてしまいました。
あらため奴隷制度の残虐さや差別の理不尽さを痛感しました。
リンダは知的で運がよかったので助かりましたがそうでなく死んでいった人がたくさんいると思うとやり切れない気持ちになりました。
過去の話として読むだけではなく現代の差別問題に通じるところはないかなどいろいろと考えらせられる作品でとても興味深かったです。
リンダが自由になる最後の数ページは特に感動しました。
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