著者:凪良ゆう 2022年8月に講談BOOK倶楽部から出版
汝、星のごとくの主要登場人物
青埜櫂主人公。母の都合で瀬戸内の島へ転向してきた。漫画家になるという夢を持っている。青埜ほのか櫂の母親。男に依存しがち。井上暁海主人公。瀬戸内の島に住んでいる高校生。井上志穂暁海の母親。夫(暁海の父)の不倫によっておかしくなっている。久住尚人櫂の相棒。漫画の作画担当。北原先生井上暁海と青埜櫂の高校の教師。
汝、星のごとく の簡単なあらすじ
島に育った井上暁海と自由奔放な母の恋愛に振り回されて島にきた青埜櫂。
共に心に孤独と欠落を抱えた二人は仲良くなりそこから恋人になります。
惹かれあい、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さにもがく二人の物語です。
汝、星のごとく の起承転結
【起】汝、星のごとく のあらすじ①
島で生まれ育った暁海。
母の自由奔放な恋愛に振り回されて島に来た青埜櫂。
櫂は島に慣れることができず、高校では友達を作らずにいました。
暁海の父は不倫をしており、家に帰ってこないようになっていました。
暁海の母は暁海に父に会って帰ってくるように伝えるように言います。
それでも暁海の父は帰ってきません。
暁海は島に来た櫂のことが気になっていたので見ていました。
漁港でたまたま櫂は暁海に遭遇し、父に会いに行くのに青埜櫂を道ずれにします。
そこに通りかかった青埜櫂のお母さんに恋人かと聞かれます。
それが青埜櫂と暁海が仲良くなるきっかけの出会いでした。
同じ学校で同じクラスなのに学校で二人は話さないし関わりません。
島の人の噂になりたくないので、放課後に二人はこっそり会って話をします。
二人は似たような境遇でそれぞれが親に問題を抱えており、同じような悩みを持っていました。
悩みを打ち明けていくうちに二人は心が惹かれあっていきます。
【承】汝、星のごとく のあらすじ②
二人は自然に付き合うようになりました。
付き合い始めた二人はとてもラブラブでした。
島の田舎で暮らしているので噂がすぐに広まります。
島中の人の公認になり、島中の人が見るようになりました。
。
二人はラブラブで花火大会の日に花火よりも好きな気持ちが抑えられなくて花火大会で初めてセックスをしてしまいます。
しかしその場面を偶然にも北原先生に見つかってしまいます。
そこから北原先生は暁海と櫂のことを避妊について注意してくれたり、気にかけてくれるようになります。
櫂は寂しさを紛らわせるために漫画をよく読みました。
自分でも漫画を描くようになりますが、絵が苦手だったのでストーリーだけ書くようになります。
漫画の投稿サイトで久住尚人と出会い、尚人が漫画、櫂がストーリーを書くようになります。
編集者の方も二人がお互いの不完全な部分を補うことでいい漫画ができていると褒めていました。
高校を卒業したかいは漫画家を目指して尚人のいる東京へ上京します。
【転】汝、星のごとく のあらすじ③
遠距離でも最初は上手くいっていました。
ですが櫂が漫画家で売れてお金持ちになってからお金遣いがどんどん荒くなっていきます。
一方で暁海は父の不倫によっておかしくなってしまった母が不倫相手の家に放火しようとしてしまいます。
そこまでしても暁海の父は家に帰ってきません。
そんな母の介護に縛られながら島で趣味の刺繍を続けながら安い給料で働いています。
化粧やおしゃれをすることもなく、暁海は櫂にあってもみじめな思いをするばかりでした。
東京へ行き変わってしまった櫂。
父の不倫、不倫相手、それによっておかしくなってしまったお母さんによって島に縛られている暁海との溝は徐々に広がっていきます。
櫂は漫画家で売れて忙しいし暁海は趣味とお母さんのことでお互いのことを考えたりする時間を作ろうとしません。
そんな生活が続くうちに限界はやってきて暁海から櫂へ別れを切り出します。
広がった溝は埋めることが結局できず、二人はついに別れることになります。
【結】汝、星のごとく のあらすじ④
暁海に振られた櫂は別れてからも暁海のことを気になっています。
暁海から切り出された別れ話も本気と捉えられず、最初は時間が経てば暁海も考え直すだろうと楽観視していました。
暁海も別れを告げましたが、櫂のことが気になっています。
でも暁海は復縁をしません。
櫂のことを忘れるために暁海は仕事や趣味に没頭します。
それでも櫂から何度も連絡があり忘れられません。
そんな中、暁海の父と母の離婚が成立し母が宗教にのめりこみ、事故を起こしてしまいます。
お金に困った暁海は櫂にお金を借りにいきます。
復縁にはなりませんが二人はお金の貸し借りをする仲になります。
しかし、櫂の相棒の尚人のスキャンダルが出たことで漫画の連載、アニメ化まで中止になります。
櫂は漫画家をやめることになり、漫画家として挫折したかいは酒と女に溺れるようになります。
そんな生活をしているうちに櫂は胃がんになってしまいます。
櫂の今の状況を知った暁海は櫂のもとへ行き、一緒に過ごす決断をします。
櫂の余命わずか、みんなで星を見に行きます。
そして最後は櫂が死んでしまいます。
汝、星のごとく を読んだ読書感想
読んでいてすごく切ない気持ちになる作品です。
親の都合に振り回され似たような境遇の者同士として出会う二人は惹かれあう運命にあったような気もするし、好きという気持ちだけではうまくいかないことだらけだということを嫌というほどこの作品から思い知らされます。
作中に「わかっていても、切って捨てられないから血は厄介なのだ。
正しさだけですべてを決められたらどれだけ楽だろう。」
という櫂のセリフが特に私の胸に刺さりました。
私も親の都合で人生がシナリオ通りにいかないこともあったし、この作品の主人公二人ほどの不遇さではありませんでしたが、このセリフは櫂のような人生だからこそ出てきたセリフに感じました。
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