【ネタバレ有り】AI崩壊 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:浜口倫太郎 2019年11月に講談社文庫から出版
AI崩壊の主要登場人物
西村 悟(にしむら さとる)
AI企業「HOPE」の社長。桐生と医療用AI「のぞみ」を作った。
桐生 浩介(きりゅう こうすけ)
AI天才開発者だが、「のぞみ」を作った後は海外に移住している。
桐生 心(きりゅう こころ)
桐生の一人娘。母の死の真相を知って父親に反発心を抱いている。
桜庭 誠(さくらば まこと)
警視庁の刑事。AIの博士号取得者で、犯罪抑制AI「百眼」を導入した。
AI崩壊 の見どころ!
・AI「のぞみ」をめぐる悲しい過去
・「のぞみ」の暴走とその理由
・明かされる「のぞみ」を巡る黒い陰謀
AI崩壊 の簡単なあらすじ
舞台は2030年の日本。
国民は投薬、治療、体調管理を担うAI「のぞみ」を体内に入れ、健康な生活を手に入れていました。
「のぞみ」を生み出した企業は日本最大のAI企業となり、さらなる発展を遂げています。
しかし、そんな理想的な生活が一転、「のぞみ」は何者かによって暴走させられ、その機能が停止してしまいます。
さらには、「のぞみ」は手に入れたデータから命の選別まで始めてしまうのです。
「のぞみ」の生みの親である桐生と西村は警察の手を借り、事態の収拾を図りますが、それは簡単なことではありませんでした。
AI崩壊 の起承転結
【起】AI崩壊 のあらすじ①
AI企業「HOPE」の社長の西村は、健康維持用AI「のぞみ」の新型サーバーのオープニングセレモニーの準備で忙しい日々を送っていました。
この「のぞみ」の基礎の部分を作ったのは西村ですが、完成形まで導いたのは、義兄の桐生でした。
桐生は「のぞみ」を作ったあと、一人娘の心を連れて海外に移住してしまいました。
「HOPE」の社員や関係者はこの晴れ舞台に桐生にも来てほしいと願っていますが、会社や金儲けに興味のない桐生がこれに来てくれるかどうかは謎でした。
しかし、このタイミングで桐生に総理大臣賞が贈られるという噂が入ってきます。
「のぞみ」は国民の健康を維持するために欠かせないものになりました。
現に、総理大臣すらも心臓病の発作を「のぞみ」によって抑えているのです。
この受賞はなんの不思議もありませんでした。
桐生は総理大臣賞の授賞式のついでに、「のぞみ」のオープニングセレモニーに来てくれることになりました。
久しぶりの義兄との再会に、西村は楽しみでなりません。
【承】AI崩壊 のあらすじ②
西村も桐生もAIの研究を学生時代から続けていましたが、「のぞみ」を作ろうとしたきっかけは、西村の姉・望の病がきっかけでした。
もともと西村と桐生は先輩後輩の関係でしたが、桐生と望の結婚によって、家族同然の付き合いになりました。
頻繁に三人で出かけたり食事をしたりという付き合いが続きました。
それは、望と桐生の間に心という女の子が生まれてからも続きます。
西村にとって、姉夫婦と心と過ごす時間が一番心落ち着くものになりました。
しかし、そんな幸せは長くは続きませんでした。
望に病気が判明したのです。
癌でした。
西村も桐生も懸命に励ましましたが、癌の進行は早く、望はみるみるやつれていきました。
そんな時、西村はAIで病を治すことができないかと考え、研究を始めます。
桐生もその話を聞いて、癌細胞に直接働きかけるAIが作れるのではないかと協力してくれました。
そして、望が生きているうちにそのAIは開発されました。
しかし、望に対してそのAIを投薬することは許されませんでした。
法律がそれを禁じたのです。
当時はAIに関する法律がまだ制定されておらず、法律改正を待っていれば望が死んでしまうのは明らかでした。
西村は法律を無視して姉にAIを投薬することを勧めますが、桐生も、望本人でさえもそれを望みませんでした。
そうこうしている間に、望は病に侵されて亡くなります。
西村は桐生に対してやりきれない気持ちを持ったまま、二人は疎遠になっていきました。
【転】AI崩壊 のあらすじ③
時代は進み、AIの法律は制定され、今では国民全体が「のぞみ」なしでは生きていけないような状態になりました。
しかし、西村は国民を救えても姉を救えなかったという絶望がいつも頭の中にありました。
久しぶりの義兄との再会は嬉しいものではありましたが、やはり姉の死が重たくのしかかっていました。
そして、桐生が連れてきた一人娘・心は日本に来る前に、母の死を詳しく教えられたようです。
法律を無視していれば母は助かったのかもしれないという思いが隠せないようで、桐生に対してそっけない態度を取り続けています。
しかし、「のぞみ」のオープニングセレモニーが無事終わり、西村が一息ついたころ、信じられないことが起こったのです。
「のぞみ」が突然暴走したのです。
「のぞみ」のペースメーカーは突然動きを止め、病院の器具は使えなくなり、調剤機能は役に立たなくなりました。
そのせいで、突然心臓発作を起こす人が町中に現れ、交通事故が多発しました。
ありえない出来事に、国中がパニックを起こしました。
西村は「のぞみ」が誰かに乗っ取られたとして、警察の手を借りて捜査を依頼します。
その間に必死に「のぞみ」の暴走を止めようとしますが、「のぞみ」にはロックがかけられており、打つ手がありません。
その上、「のぞみ」のサーバー室に心が閉じ込められてしまうという悲劇も起き、「HOPE」全体が大混乱に陥りました。
【結】AI崩壊 のあらすじ④
警察と協力して、「のぞみ」を止める方法を模索する西村ですが、桐生との連絡がつかないことに不安になります。
警察もAIを駆使する時代になっており、「百眼」というドローン式のAIが不審者を割り出していきます。
その警察用AIの指揮を執るのが警視庁の桜庭でした。
警察の中には、自分の足で捜査する仕事をAIに奪われたと思ったり、そもそもAIに不信感を持っている人がおり、桜庭は現場では浮いた存在ではありましたが、桜庭の冷徹な決断により、数多くのAIが導入されていきました。
そのAIがプロファイリングによって導き出された結論は、「のぞみを暴走させた犯人は桐生だ」というものでした。
法律のせいで「のぞみ」を妻に使えなかった桐生が社会に逆恨みをして「のぞみ」を暴走させた、というのが警察側の考えでしたが、西村には信じられませんでした。
その時、現場に追われていたはずの桐生がやってきます。
桐生は隠れて警察の「百眼」をハッキングしていました。
すると、警察が「のぞみ」の中のデータを狙っていたという情報がそこにはありました。
桐生は桜庭が今回の事件の犯人だと告発します。
現場は大混乱となりますが、桐生の理路整然とした説得により、桜庭は自分の罪を認めます。
「百眼」はあらゆる人の犯罪歴等を必要とするAIでした。
「百眼」をより性能の良いAIに育てるためには、「のぞみ」のデータを奪うことが手っ取り早いと桜庭は考えたのです。
今回の暴走は、それにより引き起こされた悲劇でした。
桐生は「のぞみ」の暴走を止めるデータも作っていました。
それにより、「のぞみ」は暴走を止め、閉じ込められていた心も脱出することができたのです。
AI崩壊 を読んだ読書感想
スケールの大きな話でしたが、展開がおもしろくてサクサク読み進めることができました。
登場人物ひとりひとりにしっかりした過去が設定されており、読み応えも抜群です。
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