【ネタバレ有り】完全無罪 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:大門剛明 2019年1月に講談社文庫から出版
ガーディアンの主要登場人物
松岡 千沙(まつおか ちさ)
21年前に誘拐・監禁された過去を持つ弁護士。平山の冤罪事件を担当する。
平山 聡史(ひらやま さとし)
少女誘拐殺害事件の犯人として無期懲役で服役中だが、冤罪だと主張している。
有森 義男(ありもり よしお)
元警察官。平山の取り調べを行った。正義感が強い。
今井 琢也(いまい たくや)
有森の後輩の元刑事。金に困っている。
完全無罪 の見どころ!
・千沙の悲しい過去
・平山の優しさと苦しみ
・明かされる過去の事件の真相
完全無罪 の簡単なあらすじ
弁護士の千紗は、21年前に起きた少女誘拐殺害事件の冤罪再審裁判に抜擢されます。
千紗は過去に誘拐・監禁された過去を持ち、そのトラウマに苦しめられてきました。
千紗と共に誘拐された少女はもう一人いたのですが、その少女はいまだに安否不明の迷宮入りと化しています。
千紗は冤罪事件を追ううちに、過去の誘拐事件と関連があるのではないかという思いが強くなっていきます。
千紗の調査の結果明らかになったのは、警察の過度な取り調べや証拠の捏造でした。
千紗は真犯人が他にいると確信し、危険を感じながらも懸命の捜査を始めます。
完全無罪 の起承転結
【起】完全無罪 のあらすじ①
弁護士の千紗が新しく担当することになったのは、少女誘拐殺害事件の冤罪事件でした。
無期懲役を言い渡された平山ですが、過度な取り調べと証拠の捏造があったと主張しています。
事件は、小学生の女の子が下校中に連れ去られ、死体で発見されたというものでした。
平山はその小学校の用務員として働いており、以前から盗撮などの噂が絶えない人物でした。
そして、その平山の車の中から女の子の髪の毛が発見されたことから、平山が逮捕されたのです。
千紗は平山が収容されている刑務所に面会に行きます。
平山の目を見て話をした千紗は、平山の無罪は本当かもしれないと感じます。
千紗は、過去に誘拐されたことがあります。
お祭りの途中で誰かに捕まり、意識を失い、気が付くと知らない家にいました。
千紗はトイレの窓から無事に出ることがでましたが、その部屋にはもう一人女の子がいたことに気付きますが、千紗はその子を助けることはできませんでした。
千紗が保護されてからも、その女の子は見つからず、行方不明のまま今に至ります。
平山の誘拐事件と千紗が誘拐された時期や場所が近いことから、二つの事件の犯人は同一人物であると確信します。
千紗は平山の冤罪を勝ち取りたいという気持ち以上に、自分の事件の真相を掴みたいという強い気持ちで平山の弁護を開始します。
【承】完全無罪 のあらすじ②
平山が逮捕時の取り調べで苦痛を受けたと名を挙げるのは、有森と今井の二人でした。
千紗は、取り調べの十二日後に突然事件のへの関与を否定していた平山が罪を認めたという点に着目します。
自白の前日、平山の妹が事件にショックを受けて自殺をしています。
千紗は、警察が妹に「平山が自白した」と嘘をつき、その嘘が妹を死に追いやったということを突き止めます。
妹の死を知った平山は自暴自棄になり、苦しい取り調べを耐えることができずに自白してしまったのです。
有森と今井は、過去の行き過ぎた取り調べが発覚することを恐れますが、金に困っている今井は平山を脅して自白に追い込んだことを認めます。
その上、今井は有森に指示されて平山の車に少女の髪の毛を置いたと認めたのです。
世間の評価は一変し、今井はひとしきりの謝罪を済ませた後、経緯を本にして稼ごうとします。
有森は世間からの冷たい視線のせいで家を追われ、仕事を失います。
平山は無事に冤罪となり、社会に戻ることができました。
しかし、千紗は安心できませんでした。
平山が犯人でないとすれば、誘拐犯は別にいるのです。
真犯人が見つからない限り、千紗に安心は訪れないのです。
【転】完全無罪 のあらすじ③
平山の一件で行き場を失った有森のもとに、変声機で声を変えた電話が入ります。
それは、千紗と一緒に誘拐されて行方不明の女の子の場所を教えるものでした。
その電話の主は、その女の子のもとに平山の髪の毛を置けば、もう一度平山を追い込むことができる、というのです。
平山は無実が証明されましたが、以前から盗撮などの疑惑はかけられており、世間からはどうしてそんな要注意人物を世間に放したのかという非難の声もありました。
しかし、有森は正義感が強い男でした。
一度は誘拐の罪を平山にかぶせようとしましたが、そうはしませんでした。
女の子の死体の場所を警察に届けることすらしませんでした。
しかし、しばらくすると女の子の死体が見つかったというニュースが入ります。
そこには、平山の髪の毛も置いてあったのです。
そのニュースと共に、平山は姿を消しました。
話を聞いた千紗は、やはり平山が誘拐犯だったのではないかと混乱します。
しかし、まずは平山の安全を確認することが先だと懸命に平山の姿を探します。
すると、知らない番号からある空き家に誘導する内容の電話が入ります。
【結】完全無罪 のあらすじ④
千紗が空き家につくと、腹を刺された今井と有森がいました。
千紗は有森が今井を刺したのかと疑いますが、有森も謎の電話によって呼び出され、空き家についた時には今井は刺されていました。
すると、空き家に置いてあったスマホが着信を告げます。
それは、平山のものでした。
着信はすぐに切れましたが、そのスマホに一本の盗撮された動画があることに気付きます。
それは、真犯人からのメッセージでした。
真犯人は、平山の盗撮を証言し、最近亡くなった老人でした。
老人は二件の事件の犯行を認めていて、かつ全く悪びれていませんでした。
しかし、死が迫った時に平山だけには真実を告げる気になり、それを平山が隠れて動画に残していたのです。
千紗は犯人が見つかったことには安堵しましたが、あまりの事件の卑劣さに絶望します。
しかし、今まで苦しんでいたトラウマと不眠からは解放されたのでした。
完全無罪 を読んだ読書感想
全体的に重苦しい事件を扱う一冊ですが、どんでん返しに翻弄されて一気に読み進められました。
残虐な表現は少ないので、比較的読みやすいミステリーだと思います。
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