【ネタバレ有り】ザ・プロフェッサー のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:ロバート・ベイリー 2019年3月に小学館から出版
ザ・プロフェッサー の主要登場人物
トム・マクマートリー(とむ・まくまーとりー)
アラバマ大学ロースクールの教授。大学を追われ隠遁生活になる。
リック・ドレイク(りっく・どれいく)
トムの元教え子で、駆け出し弁護士。原告側弁護士。
ルース・アン・ウィルコックス(るーす・あん・うぃるこっくす)
トムの昔の恋人。トラック事故で娘夫婦と孫を失う。
ジャック・ウィリストーン(じゃっく・うぃりすとーん)
事故を起こしたトラック会社の社長。
ジェイムソン・タイラー(じぇいむそん・たいらー)
ウィリストーンが雇った被告側弁護士。トムの元教え子。
ザ・プロフェッサー の簡単なあらすじ
トムは元恋人のルースから、トラック事故の告訴で弁護士を務めてほしいと依頼されます。
しかし、彼はいろいろな問題を抱えていたため、元教え子のリックにこの仕事を任せます。
ところが、トラック会社ウィリストーンはあらゆる妨害工作を行い、リックは窮地に立たされてしまいました。
しかし、闘志を取り戻したトムが法廷に現れたことで劣勢を盛り返していきます。
最後にはトラック会社の悪事が暴かれ、正義がなされたのです。
ザ・プロフェッサー の起承転結
【起】ザ・プロフェッサー のあらすじ①
アラバマ大学で教鞭を執るトムは、妻を亡くしてから悲しみに襲われることがたびたびありました。
それでも愛犬のムッソをともに、穏やかな生活をしていたのですが、それが一変する事件が起こります。
トムは以前から大学の派閥争いに巻き込まれていて、敵側がトムを失脚させようと策略を巡らせていたのです。
そこにはかつての教え子で、友人でもあったジェイムソン・タイラーの姿もあり、トムは衝撃を受け、怒りを覚えます。
怒りに任せて大学を辞めたトムですが、その直後に膀胱癌に侵されていたことが判明します。
妻の死・友人の裏切り・癌と、数々の試練に襲われたトムは、人里離れた場所へ引っ越し、隠遁生活を始めました。
しかし、彼の心には一つ気がかりが残っていました。
それは、かつての恋人ルースからの依頼です。
彼女は、トラック事故で娘夫婦と孫を失っていたのです。
ルースはトラック事故の真相を知りたいと告訴して、トムに弁護士になるように依頼したのですが、トムは長年現場を離れていたこともあって答えを保留にしていました。
そこで、トムはもと教え子で駆け出し弁護士のリックの元へ行き、ルースの依頼を紹介したのです。
リックは激高しやすい性格で、それが災いしてトムを殴り、ジェイムソン・タイラーの事務所から内定を取り消された過去があります。
トムは、その原因の一端は自分にあると考え、贖罪のつもりでリックに仕事を紹介したのです。
リックも最初は渋っていましたが、自分のキャリアのことを考え、ルースの弁護士を担当することになりました。
【承】ザ・プロフェッサー のあらすじ②
トムは陰ながらリックを支援しようと、ドーン・マーフィーという学生をリックにもとへ送り彼のサポートを任せます。
事故に遭遇した人たちはすべて亡くなったので、リックはトラック運転手の妻や、事故当日にトラックの積載を手伝った社員たちから話を聞きます。
そして当時、トラックの積み荷だったガソリン会社の工場長が、事故が起きた日に火災でなくなっており、これを怪しいと思ったリックはその妻にコンタクトをとることにしました。
彼らの話を聞いたリックは、ウィリストーンの会社は従業員に無茶な労働を課しており、それが原因で事故が起きたのではと考え始めます。
しかし、ウィリストーンも黙っていませんでした。
彼は事件の真相をもみ消すために、部下を使ってリックが接触した人々を掌中に収めようとします。
トラック運転手の妻ウィルマを金で買収し、裁判で自分たちに有利な証言をするように強要させます。
彼の妨害はそれだけではありません。
従業員のカーマイケルを脅して当時の業務には何の違法性もなかったと言わせ、会社を辞めリックに協力的だったモリスという男を殺害することでその口を封じたのです。
そして、ガソリン会社の工場長の妻フェイスには、夫がゲイだったことを伝え、子供たちや世間にそのことを知られたくなければ、裁判に出席するなと脅します。
リックは、相手の妨害工作を知らずに裁判に挑みます。
一方、トムは病気の治療をしながら、愛犬ムックと一緒に静かに暮らしていました。
しかし、元教え子の弁護士ボーから、年齢や病気を言い訳にして逃げているだけだと辛辣に非難されてしまいます。
その言葉が消えないトム。
ある日散歩の途中で、狂犬病にかかった山猫と遭遇して襲われます。
逃げようとしたトムですが、転んで頭を打ちつけてこれで終わりと思いました。
しかし、気を失う直前に、彼は山猫に飛びかかる影を見たのです。
【転】ザ・プロフェッサー のあらすじ③
リックは裁判で窮地に立たされます。
リックは、事故の原因はウィリストーンの会社の違法労働が原因だったと主張して裁判を進めることにしましたが、ウィリストーン側の弁護士タイラーは、リックの内定を取り消した相手で、たびたび冷静さを欠いてしまします。
それに加え、自身の切り札だったウィルマが、リック側の主張を否定する証言をしたのです。
万策尽きたリックは、敗訴を覚悟します。
しかし、そこに登場したのがトムでした。
彼は、裁判の途中からルース側の弁護士として参加しました。
トムはまず、ウィルマの証言がウィリストーンに強要されたものではないかと指摘して、リックの窮地を救います。
裁判が日をまたぐなか、ウィリストーンはさらなる妨害工作に打って出ますが、これがことごとく裏目に出ることとなりました。
さらに、口封じのために殺されたモリスの友人が、彼の家から積載証券を見つけ、トムたちの元へ持ってきました。
積載証券は、トラックの荷物の搬送先や、届けなければいけない時間などが書かれている証券です。
そこには、出発地点から目的地まで制限速度を守っていては絶対に時間内に到着しない時刻が記されていました。
これで、トムたちはウィリストーンの会社が常習的に運転手に無茶な労働をさせていたことを知ります。
これが裁判の切り札になると確信しますが、一つ問題がありました。
この積載証券が本物であると証言する証人がいないのです。
普段の業務で証券を扱っていたフェイスは、ウィリストーンの脅して裁判から遠ざけられていたのです。
しかし、フェイスはウィリストーンに反抗することを決意しました。
彼女は夫がゲイだったことを、息子たちに伝えると、時間ぎりぎりのところで裁判所に出廷したのです。
【結】ザ・プロフェッサー のあらすじ④
フェイスは、積載証券が本物であることを認め、ウィリストーンの会社が違法労働を繰り返してきたことが明かされました。
さらにフェイスは自分がウィリストーンから脅されて、裁判に出席しないように強要されたことを法廷で暴露します。
こうしてウィリストーンの悪事は白日のもとへさらされました。
ウィリストーンの会社は、ルースに9000万ドルの支払いを命じられ、ウィリストーン自身も逮捕されることとなったのです。
後日、トムは家族の墓参りに行きました。
その墓の近くには愛犬ムッソの墓もありました。
トムを山猫から守ったのはムッソだったのです。
ムッソは老犬で、身体のあちこちにガタがきていたにもかかわらず、自分より20キロは体重のある山猫の喉元に飛びかかり、自分の命と引き換えに主人を守ったのでした。
トムは山猫と一緒に横たわるムッソを見つけて、人生の最後まで戦う姿勢を持つことを決意して、法廷に舞い戻ったのでした。
6ヶ月後、トムはリックの事務所の共同経営者となり、70歳手前にして再び法廷弁護士として再スタートを果たしたのです。
ザ・プロフェッサー を読んだ読書感想
鮮やかな逆転劇が胸をすくリーガル・サスペンスです。
ウィリストーンの悪事は、最初から読者には明示されているので、どんでん返しの要素はありませんが、最後に正義が勝つという王道の勧善懲悪なストーリーを魅せるように描いています。
真実を求める正義や世代を超えた友情が作中で光るなか、絶望のどん底に落ちたトムの再起を見どころの一つです。
大学を追われて、癌が見つかった直後のトムは、自分が無力な老人で、もう終わった人間だと思い込んでいました。
それでも、ボーの説得や、ムッソの最後を見て再び闘志を宿すわけです。
裁判の終盤では、癌の痛みをこらえながら法廷に立ちます。
その段階では勝利は確定したようなもので、リックに任せてもよかったのですが、裁判に駆けつけた元教え子やかつての仲間の姿を見て、法廷に立ち続けることにしたのです。
そこには弱気なトムの姿はどこにもなく、仲間たちの期待を背負い、最後まで弁論をふるい続けるシーンは感動的でした。
最後はトムの再出発で終わりますが、人生をやり直すのに遅すぎることはないと感じさせてくれる作品です。
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