【ネタバレ有り】BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:内藤了 2016年7月に角川ホラー文庫から出版
BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子の主要登場人物
藤堂比奈子(とうどうひなこ)
八王子西署刑事組織犯罪対策課に所属。猟奇的な犯罪に遭遇することが多い。
石上妙子(いしがみたえこ)
「死神女史」と呼ばれているが、鋭い観察眼と確かな腕をもった検死官。
中島保(なかじまたもつ)
天才プロファイラー。かつて事件を起こし、囚われの身となっている。警察に捜査協力をしている。警察上層部、石上、比奈子とその上司である厚田以外は、彼が犯罪者であることを知らない。
成増サヤ子(なりますさやこ)
今回襲撃を受けた病院に勤務しており、特殊病棟の看護師長。
大堀淳二(おおほりじゅんじ)
特殊病棟の事務長をしている55歳の男性スタッフ。
BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 の簡単なあらすじ
女優の波留さん主演で、テレビドラマ「ON 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子」として放送され人気作品のシリーズ第7弾となっています。今回は捜査班たちが大量殺人事件を起こした犯罪集団と立ち向かう姿が描かれています。
BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 の起承転結
【起】BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 のあらすじ①
12月25日未明、街はどこもかしこもクリスマスムード一色でした。
そんな中、都内の病院で大量殺人事件が発生します。
藤堂比奈子が所属する八王子西署刑事組織犯罪対策課のメンバーもそこへすぐさま駆けつけます。
彼らは一目見て、殺害の手口が非常に迅速かつ鮮やかであることから、殺しのプロ集団によってなされた犯行だということがわかりました。
実は公にはされていませんでしたが、その病院には特別病棟があり、そこには極秘で特殊な受刑者たちが入院させられていました。
狙われたのは、まさに彼らが入院しているフロアだったので、捜査班たちにはいくつかの疑問が湧きおこります。
一つは、「受刑者たちの受け入れに際して、病院側は通常のフロアよりもセキュリティを強化していたはずなのに、なぜ突破され襲撃されたのか」というものです。
そして、もう一つは、「もし意図的に受刑者たちが襲われたのであれば、犯人の目的は何なのか」というものでした。
比奈子たちは捜査するにあたり、連絡の未だとれていない3名のスタッフの誰かが犯人の一味として、病院内に犯人たちを手引きしたのではないかと推察します。
【承】BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 のあらすじ②
そんな中、眼球をくりぬかれ、両手を切断された女性の遺体が発見されます。
その姿は血だらけになっているものの、看護師の白衣であったことから、被害者は行方不明になっていた看護師長の成増サヤ子であることが判明します。
そして、時同じくして、青海の暁埠頭のコンテナから、男性の変死体が発見されます。
その遺体も先に発見された遺体と同様に、両方の眼球がくりぬかれた上に、手首がもちさられていることから、同じく行方不明になっていた特殊病棟の事務長大堀淳二ということがわかります。
しかし、検視に立ち会った死神女史こと検死官石上先生によると、二人の遺体にはただ一点だけ相違点があることがわかります。
それは、男性の方は分かりにくい形で拷問を受けていたということでした。
さらに詳しい解剖により、男性の方が先に殺害されていた点から、病院のセキュリティ(虹彩と掌紋認証システム)突破のために眼球と手首を持ち去ったという推察ができました。
しかし、「では、なぜ看護師も同じ目に遭ったのか」という謎に、一同頭を悩ませるのでした。
そこで、日本精神・神経医療研究センターにいる天才プロファイラー中島保のもとを比奈子は訪れることにします。
実は、彼はかつて事件を起こし囚われの身となったのですが、頭脳明晰なため警察に協力するという形で今はセンターに軟禁されています。
また、彼と比奈子は許されざる相思相愛の関係でした。
【転】BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 のあらすじ③
センターには一般の研究者だけでなく、犯罪を犯したけれども優秀な人材であれば、そこで研究に没頭することが許されていました。
例えば、石上先生がかつて愛した法医昆虫学者ジョージや、十歳の連続殺人鬼で比奈子をも殺そうとした少年永久もそこで過ごしていました。
中島によってプロファイルがおこなわれ、「看護師長が殺されて両方の眼球や手首が奪われたのは、事件をカムフラージュするためなのではないか」、「犯人は自己顕示欲が強く、自信家であること」、そして「犯人はやはり複数犯である可能性が濃厚」というアドバイスが比奈子たち捜査班に届けられます。
それと並行して、警察では地道な捜査が繰り広げられていました。
ネットで上にある病院襲撃についてSNSやブログ内で過激であったり一般的に公開していない内容のコメントをしている人物たちを追いかける作業もしていたのです。
そして、ついに渡嘉敷和樹という29歳の派遣社員に辿り着きます。
しかし、その人物像は今回の大それた事件を起こすような主犯格のタイプとは違いましたが、複数犯説をとると、末端のポジションにいる位置するタイプであることがわかりました。
【結】BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 のあらすじ④
靴底がすり減るような地道な捜査の結果、比奈子たち捜査班は渡嘉敷和樹の居場所を突き止めることに成功します。
渡嘉敷和樹を突破口に、なんとしても卑劣な大量殺人事件を起こしたプロの犯罪集団たちを一網打尽にすべく、捜査員たちの士気が高まります。
彼を一斉に取り巻き、所持していた覚醒剤を理由に緊急逮捕し、いざ手錠をかけようとした時に、渡嘉敷に異変が生じます。
突然身体を痙攣させ、白目をむいて意識障害が起こした末に死亡してしまいます。
けれども、彼の持っていた携帯を分析し、一味のアジトをついに見つけるのでした。
捜査員たちが突入すると、殺害の訓練をした後や持ち去られた眼球と手首が放置されていましたが、そこに犯人たちはいませんでした。
結局、警察上層部の判断で、一連の犯行は渡嘉敷によるもので、本件は被疑者死亡で幕引きとなるのでした。
しかし、数日後、石上先生から医者の観点から、比奈子と上司の厚田は思わぬ指摘を3つ受けます。
一つ目は渡嘉敷の太ももの裏には注射痕があり、彼が口封じのために大量の薬物を投与されて殺害されたという事実でした。
残りの二つは可能性だが、事務長が拷問を受けたのは特別病棟にいるはずのある人物について聞き出すためであり、看護師長が拉致・殺害されたのもその人物について情報を収集するためだったのではないかということでした。
犯罪集団が欲している人物とは、天才プロファイラー中島保なのではないかという不安が彼らに襲いかかるのでした。
BACK 猟奇犯罪捜査班 藤堂比奈子 を読んだ読書感想
今作は、「藤堂比奈子シリーズ」のクライマックスへと走り始めるために、より強大な敵(プロの犯罪集団)が関わってきており、非常にスケールの大きな内容となっていました。
非現実的なようですが、実際に、その昔、海外でも特殊な能力を有する人たちを集めて、最強の集団を作ろうとした国家がありました。
もしそのような集団に中島の頭脳が悪用されたらと思うと、比奈子たち同様、恐怖と不安が胸に沸き起こってきます。
人を平気で殺める闇深き集団との対決していく比奈子たち捜査班。
忍び寄る魔の手から愛する中島保を守れるのかが今後楽しみです。
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