【ネタバレ有り】永遠の途中 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:唯川恵 2003年5月に光文社から出版
永遠の途中の主要登場人物
伊田薫(いだかおる)
大手広告代理店で働いていたが、結婚を機に専業主婦になった。
篠田乃梨子(しのだのりこ)
薫の同期。仕事ができるキャリアウーマン。独身。かつて郁夫に憧れていた。
笹原郁夫(ささはらいくお)
薫と乃梨子の同僚。乃梨子が密かに憧れている存在だったが、薫と結婚した。
村山(むらやま)
薫の不倫相手
沙絵(さえ)
薫の娘
永遠の途中 の簡単なあらすじ
広告代理店で働く薫と乃梨子は、仲はいいものの、お互いに意識しあう仲です。薫は乃梨子が自分よりも少し仕事ができることをうらやみ、一方乃梨子は薫がかわいらしく、取引先にも気にいられていることを羨ましく思っています。そんな折、薫は自分が憧れて結婚したいと思っている郁夫のことを、乃梨子も好きだと気づき、出し抜く形で結婚します。専業主婦の薫、そしてキャリアウーマンの乃梨子の人生はどうなっていくのか、、、。
永遠の途中 の起承転結
【起】永遠の途中 のあらすじ①
大手広告会社に勤める薫は、それまで仕事を頑張ってきたものの、疲れを感じ始めます。
そして、誰かに守ってもらいたい、結婚して安定した生活を送りたいと願うのでした。
そして、その相手として会社の同僚である郁夫に叶えてほしいと望みます。
郁夫は社内でも人気があり、薫はどうやって彼に近づこうかと考えていました。
一方、薫と同期の乃梨子は、バリバリと働いていて、今後も仕事のキャリアを重ねていきたいと思っていました。
そんな中、仕事のパートナーとしての郁夫に密に恋心をいだいていました。
結婚ということまでは考えていないものの、憧れを郁夫に抱いていたのです。
それは、ある時、酔った郁夫からキスをされたこともきっかけのひとつでした。
びっくりしてにげてしまった乃梨子ですが、それ以来郁夫が気になって仕方ありませんでした。
ある日、薫と乃梨子は会社帰りに食事をします。
その雑談の中で、勘の鋭い薫は、乃梨子が郁夫に恋心を抱いていることを察知します。
乃梨子には絶対に負けたくない薫は、彼女を出し抜く形で郁夫に捨て身で近づき、婚約、そして結婚することになります。
そんな薫をみて、自分は負けたのだと思う乃梨子でした。
【承】永遠の途中 のあらすじ②
薫の娘は3歳になった。
育児に奮闘しつつも、可愛くて素直な娘、沙絵に薫はもちろん郁夫もメロメロだった。
薫は郁夫から、乃梨子が仕事でうまくいっておらず、取引先を他社にとられたり部下と衝突してうまくいっていなことを知る。
そんなことから薫は乃梨子に3年ぶりに会うことにする。
久しぶりに会う乃梨子はやはり疲れた表情で、仕事で辛い立場に追いやられているようだった。
そんな乃梨子の様子をみて、やはり専業主婦になってよかったと内心安心する薫だった。
乃梨子は、仕事上のミスから本社から支社に異動になり、そこでも実績を残せず閑職に追いやられ、退職へと追い詰められていきます。
薫もまた、郁夫がまた浮気をしていることに気づき、フラストレーションを抱えていました。
新しく始めたワインスクールで出会った男、村山と不倫関係になり、逢瀬を重ねます。
しかし、そんな折、薫は妊娠していることが判明します。
村山とは確実に避妊していたため、彼の子である可能性はゼロでした。
薫は迷ったあげく、郁夫との子供を産むことを決め、村山と別れます。
そして乃梨子もまた、退職してなかばやけくそのように出かけた海外旅行先でビジネスパートナーと出会い、自分の会社をたちあげることになるのでした。
【転】永遠の途中 のあらすじ③
旅行会社をたちあげ、乃梨子は成功します。
独特なプランが人気を呼び、雑誌やマスコミにもとりあげられます。
乃梨子の会社のオープニングパーティにまねかれた薫は、仕事で活躍し会社までおこしたことに羨ましく感じます。
自分には家庭しかないことにあせりを感じはじめ、薫は仕事を探し出します。
そして、オーガニックランチショップでパートとして働くことにしたのです。
そのことで、家事がおろかになってしまい、郁夫と何度か喧嘩になってしまいますが、それでも薫は、仕事にやりがいを感じ、ついに店長にまで抜擢されます。
そんな頃、薫の息子がサッカーのためにイギリスかブラジルに留学したいと言い出します。
薫は反対でしたが、郁夫が勝手に許可を出してしまいます。
家族のことを、大事な息子のことを自分に何の許可も得ず決めたことを、「妻である自分をないがしろにしている」と薫は猛烈に怒ります。
そのことを電話で乃梨子に愚痴るのですが、乃梨子は、「郁夫と結婚する時に、自分はサポート役に徹したいと言ったはずだ」と厳しくいい放ち、薫と乃梨子は喧嘩別れのようになってしまうのでした。
【結】永遠の途中 のあらすじ④
乃梨子の会社は、かつてほどの勢いはないものの、どうにか経営を続けていました。
そんな乃梨子の前に、薫の娘、沙絵が現れます。
沙絵は、大手メーカーに就職していましたが、そこを辞めて、乃梨子の会社で働かせてほしいと言うのでした。
薫からすぐに乃梨子に電話が入ります。
最後に電話で喧嘩別れしたから何年もたっていました。
実は、沙絵は、会社の上司と不倫関係になりそれが奥さんにばれて家に怒鳴り込まれ、会社を辞めることになったのでした。
薫は、乃梨子に沙絵を雇わないでほしいと懇願しますが、沙絵の決意は固く、乃梨子の会社に就職を決めます。
夫の郁夫も、あきらめ、沙絵の再就職を許し、沙絵はアパートで独り暮らしをはじめます。
息子も独立し、かつてのように二人になった薫と郁夫は還暦になった自分たちのことを悟ります。
そして、夫婦で旅行にでも行こうと話しだします。
薫は沙絵の仕事ぶりも気になり乃梨子に電話をかけて、銀座で食事をすることになります。
喧嘩別れして以来、直接会うのは久しぶりでした。
そこで初めてゆっくりとおたがいについて話しあいます。
二人は、お互いがそれぞれのことを羨ましく思っていたと認め、ないものねだりをしていたことをつぶやきます。
それでも、まだ生きている途中だから、明日にむかって生きることを決意しあう二人でした。
永遠の途中 を読んだ読書感想
専業主婦対独身キャリアウーマンというわかりやすい二項対立を軸として物語がたんたんと進む様子が、読みやすかったです。
唯川恵さんの小説は二人の女性がわかりやすいテーマを背景に対立していて、そこに魅力があります。
これは15年以上前に出版された小説ですが、現代の女性にも十分通用するテーマです。
この十数年間の間に世間の色々なことが変わりましたが、女性の悩みや迷いはそれほど変化していません。
専業主婦対独身、子供がいる女性対子供がいない女性、専業主婦対働く女性、金持ちの夫がいる女性対稼ぎの悪い夫を持つ女性、、、女性はいつも時代も、自分のもっている背景、自分がもっている荷物を比較しあい、うらやみ、そしてねたみながら人生を生きているものだと思います。
そのことをシンプルに教えてくれる小説です。
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